今年こそ本気のストレスチェック! 2年目実施のポイントはこの5つ

ストレスチェック

2015年12月よりスタートした「ストレスチェック制度」も、いよいよ2年目に突入しています。地域によっては、労基署から初年度のストレスチェック実施や運営状況について確認が入っているところもあるようです。最近では「健康経営」、「働き方改革」などのキーワードで、企業におけるメンタルヘルス対策の取り組みが、政府の後押しを受けて注目されています。健康経営とは、企業経営と働くひとの健康管理を両立させることが、収益性の高い企業経営につながるという考え方です。また、昨年大きな話題となった電通社員の過労自殺をはじめとする過労死の問題に社会的関心が高まっていることを背景に「働き方改革」が議論されており、健康を害するほどの長時間労働が是正される流れです。2年目のストレスチェックは、こういった背景を踏まえた実施が大きなトレンドになりそうです。ストレスチェック初年度を振返り、課題についておさらいするとともに、2年目実施に向けたポイントについて解説します。

初年度ストレスチェックの振り返り

ストレスチェック制度義務化開始から1年!! 初年度の動向と見えてきた課題でも触れたとおり、初年度のストレスチェックは「とにかく実施してみる」一年だったと総括できます。メンタルヘルス対策を長年やってきた大企業では、今回の義務化にあわせて、これまでの実施内容を制度に適合させる必要がありました。また、中堅・中小企業でははじめてのストレスチェックを一から準備してストレスチェックを実施し、なんとか医師面談までこぎつけた企業がほとんどだったのがリアルな実情です。

実際に初年度のストレスチェックを実施してみた結果、高ストレス社員の割合や組織ごとのストレス状況などがリアルに可視化されたことと思います。多くの人事担当者から聞かれた声も、「なんとなく感じていた課題が数字として可視化された」というものでした。また、ストレスチェック実施前にはそれほど興味のなく「コストを抑えてとにかくやって」とつれない反応だったのに、結果を経営層に報告した途端「結果を踏まえてどう改善するんだ?」とアクションプランを求められ困惑しているというお話もよく聞く話です。結果が見えると対策を打ちたくなる、これが経営層の性なのかもしれません。

また、高ストレス者のフォローについても初年度ストレスチェックで顕在化した大きな課題です。弊社で実施したストレスチェックでも、高ストレスと判定された方は全体の10.3%でした。しかしながら、その中で産業医面談を希望した人はそのうちの約1割ほどです。つまり、産業医面談に実際に進む可能性があるのはわずか1.2%にとどまります。これは、高ストレスと判定されたにもかかわらず約9割の従業員に対しては、その後のケアが行き届かないということを意味します。仮に多くの高ストレス者が面談を希望した場合、全員に医師の面談を実施するとなれば企業側のコストは大きなものになってしまうことでしょう。人事担当者としては、ストレスチェック結果を従業員がセルフケアに活用してこそ本来の趣旨であり、せっかく実施したストレスチェックがやりっ放しに終わっていることに課題を感じています。

ストレスチェック受検者に占める面談希望者の割合

2年目ストレスチェックのポイント

こうした1年目ストレスチェックの振り返りを踏まえ、2年目のストレスチェックは単なる実施にとどまることなく、準備から実施後の対策まで一貫した全体設計がポイントとなります。自社の初年度ストレスチェック状況を棚卸しした上で、2年目に解決したい課題とゴールをストレスチェック開始前に明確に設定しておくことが重要です。

2年目ストレスチェックの設計を行うにあたり、ポイントとなる5つの事項についてまとめました。

ポイント1:運用実態にあわせた見直しを行う

1年目のストレスチェック実施時に「ストレスチェック規定」は作成されたでしょうか?

急いで実施してしまったり、制度についてよく理解していない委託業者に依頼してしまったりした企業では、規定自体をそもそも作成していないというケースもあるようです。また、2年目に実施するストレスチェックに向けて、初年度を振り返って実施規定を運用実態にあわせて見直すとよいでしょう。対象社員の範囲、実施体制、実施方法など2年目に変更がある場合は規定を修正しましょう。例えば、医師面談までの期間等を詳細に設定している場合は、初年度に設定した期間が運用実態に即したものであるかを見直します。2年目のストレスチェック体制や方向性が決まったら、衛生委員会で審議してください。

ポイント2:高いストレスチェック受検率を維持する

ストレスチェック制度は従業員の受検義務がないため、義務化当初は受験率は低調に終わるのではないかという予測がありましたが、実際には様々な調査結果で8割前後と全体的に高い受検率結果が報告されています。

しかし、2年目のストレスチェックは従業員の目新しさがなくなることから、受検率の低下が懸念されます。受検率が低いことによる罰則や指導はないですが、せっかく実施するストレスチェックを有益なものにするためにも、受検率80%を目標にするのが望ましいです。特に、集団分析を行う場合には受検率が高い方が、より組織の実態を反映した結果となります。

高い受検率を維持するために、業務の繁忙期を避けたストレスチェックの実施期間を設定する必要があります。一つの狙い目としては6〜7月です。新入社員の受け入れや人事異動がある程度一段落し、決算発表や株主総会などが終了したこのタイミングはストレスチェックにオススメのタイミングと言えます。

また、実施者および実施事務従事者の事前周知と根気強い受検勧奨が、高い受検率に必要なことは言うまでもありません。手間暇はかかりますが、「あなたの心の健康のために有益です」というメッセージを伝え続けることで、メンタルヘルスへの関心度を高める地道な努力が必要となります。社内にこういったきめ細やかな運用ができる産業衛生体制がある企業はよいですが、人事担当の人数が不足している企業においては、委託企業がこういったフォローまできめ細やかに実施してくれるのかどうか、しっかり確認しておく必要があるでしょう。

ストレスチェック 義務化

ポイント3:ストレスチェック結果を個人のセルフケアに活かす

ストレスチェック制度が義務化された最大の目的は一次予防です。つまり、従業員がメンタルヘルスの不調にならないよう未然に防ぐことがゴールなのです。そのためには、高ストレスと判定された方はもちろん、今は高ストレスと判定されなかった方にもセルフケアを促し対策を講じる必要があります。しかしながら、初年度ストレスチェックの振り返りでも課題が浮き彫りになったように、現状のストレスチェックでは、ストレスチェック後のフォローが十分とはいい難い状態です。

まず、高ストレスと判定された方については、医師面談を希望しない従業員に対するフォローとして、医師面談の位置づけを説明し、面談について何度もリマインドを行い勧奨するアプローチが有効です。また、ストレスチェック制度では医師の面談以外の対応は義務ではありませんが、保健師や外部相談窓口など医師以外の窓口利用も有効です。外部相談窓口の利用によって、高ストレスによって自殺願望を抱いてしまった方を発見し、最悪の事態を食い止めることができたという事例もあります。

高ストレス判定されなかった方についても、ストレスチェック実施時にはストレスが低い状態であったとしても、半年後に高ストレス状態にある可能性は十分にあります。高ストレス者へのフォローは、医師面談を実施することだけではなく、高ストレス状態にある従業員を年間を通じて継続的にケアしていくことが真のメンタルヘルス対策として重要なのです。

ポイント4:集団分析結果を職場改善に活かす

集団分析を行うことで、全社に共通する課題や、分析組織で生じている個別の課題が見えてきます。全社に共通する課題については、人事担当が主導して改善を進めていきます。全社向けの対策で、最も有効な打ち手が「研修」の実施です。高ストレス者が多く発生している組織では、管理職向けの「ライン研修」や、一般従業員向けの「セルフケア研修」の実施が効果的です。また、職場の人間関係やコミュニケーションに課題がある場合には「コミュニケーション研修」や「組織活性化研修」などを行ってみるのもいいかもしれません。また、不眠傾向が顕著に見られる場合は「睡眠研修」がオススメです。睡眠研修は、メンタルヘルス対策につながるだけではなく、日中帯の生産性が大きく向上するため、全社的にとても有効な研修だといえます。

一方、各分析組織単位の課題については、職場の管理監督者が主導して職場改善を進めていくことになります。課題が複数発見された際のアプローチとして、恒常的な課題から着手するように心がけ、いきなりすべての課題を完璧な状況に改善しようと高い目標を掲げないことが肝要です。改善プランは実行できる内容で、かつ継続しやすく具体的で実行可能なものにするとよいでしょう。

ポイント5:経営陣を巻き込みトップダウンで対策を行う

冒頭でも紹介したように、「健康経営」や「働き方改革」というキーワードに対する注目度が近年急速に高まっています。健康経営は、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。これまではメンタル不調者の発生など、健康リスクが顕在化したものに対処するという現場主導の対応だったものを、経営主導で未然予防を重要視していく経営に変化していくということが求められるのです。病気にならないようにする未然予防を全社的に推進していくためには、健康経営の目標を定め、その達成に向けて実践する担当者を決め、スケジュールを明確にすることが重要です。

健康経営計画の中にストレスチェックをしっかりと位置づけ、ストレスチェックをただやるだけでなく、意味のある、価値ある営みにするという経営トップの理解は不可欠です。経営陣からストレスチェックを通じて健康創出につなげていくことについて、従業員に対して意志と覚悟を表明してもらうことがベストです。メンタルヘルス対策などの健康管理がしっかり整備されている企業は、休職者、退職者が減少するだけでなく、優秀な人材の獲得にもつながります。これらの対策にかかる費用は、優秀な人材の流出を防ぎ、さらなる優秀層を惹きつける採用のために必要な「投資」であるということを、社内の共通言語にしていかなければなりません。

さいごに

2年目のストレスチェックは、義務化対応を果たすためだけに最低限のストレスチェック実施を行う企業と、ストレスチェックを従業員の健康創出のきっかけとする「本気のストレスチェック」を行う企業に二極化することが予想されます。

社内にストレスチェックを運営するだけの潤沢なリソースがあり、最低限の実施だけを行う場合は、厚生労働省が提供する無料のシステムを活用することができます。安価にシステムだけを提供してくれる委託業者も多くありますので、コスト面で比較して最も安価な事業者を選択するとよいでしょう。

一方、本気のストレスチェックを実行したい企業については、実施後の「分析」と「対策」についてどれだけ一貫した事前設計ができるかが重要になってきます。しかしながら、「分析」と「対策」が充実したストレスチェックサポートをうたっているサービス提供事業者は少ないのが現状です。面談を希望しない高ストレス者への対応、高ストレスと判定されなかった社員へのセルフケアの促進、年間通じたフォローなどを行うサービスは、中堅中小規模の企業においても、今後ますますニーズが高まっていくことでしょう。

iCAREでは、全社員への年間通じたフォロー、全社向けの事後研修メニューなどを各種提供しております。「本気のストレスチェック」をお考えの人事担当の方はお気軽にお問い合わせください。

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