厚生労働省がストレスチェックのデータを公表! 何が見えてくるのか?

厚生労働省がストレスチェックのデータを公表! 何が見えてくるのか?

平成27年12月に始まったストレスチェック、みなさんの会社では実施しましたか?厚生労働省は平成29年7月にストレスチェック制度の実施状況(PDF)をはじめて発表しました。今回は、この発表をもとにストレスチェック実施状況をみていきましょう。

ストレスチェックの実施率は8割、面接指導を受けたのは0.6%

厚生労働省は、職場におけるメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的に、常時50人以上の労働者を使用する事業場に対し、年1回のストレスチェックとその結果に基づく面接指導の実施を義務付けており、1回目のストレスチェックを平成28年11月30日までに行い、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告するよう呼びかけました。

その結果、厚生労働省の発表によると、平成29年6月末時点でストレスチェック制度の実施義務対象事業場のうち、82.9%の事業場がストレスチェックの実施を報告しています。特に、事業場規模が1,000人を超える事業場は95.5%が実施しており、高い数値を示しています。

このことは、「事業場選任の産業医」もしくは「事業場所属の医師や保健師・看護師・衛生保健福祉士」がいるかどうかも大きく影響します。

ストレスチェックの実施者は、

  1. 「外部委託先の医師や保健師・看護師・衛生保健福祉士」
  2. 「事業場選任の産業医」もしくは「事業場所属の医師や保健師・看護師・衛生保健福祉士」

に大別されますが、規模が50~99人の事業場は、1.の外部委託先が44.2%、2.の事業場選任が55.8%なのに対し、1,000人を超える事業場は外部委託先は18.7%と明らかに少なく、事業場選任が81.3%と多く占めています。

また、事業規模が上がるにつれ、事業場選任の割合が上がっています。事業規模が上がると、選任もしくは所属の産業医を雇うケースや、保健師など産業衛生スタッフを置くケースが増え、ストレスチェック業務も付随して行うため、外部委託をする必要がなくなるためと考えられます。

労働者はストレスチェックを受けないという選択を取ることもできますが、実際は在籍労働者のうち78.0%の労働者がストレスチェックを受けています。しかし約2割の労働者がストレスチェックを受ける環境があるにも関わらず、自らの意思で未実施を選択しています。

事業場はストレスチェックを行い、高ストレス者と選定された労働者の中で、ストレスチェック実施者が面接指導の必要があると判断した労働者に対して、医師による面接指導の案内をしなければなりません。そして対象の労働者が医師の面接を希望した場合、医師による面接指導を実施しなければなりません。

調査の結果、ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師による面接指導を受けた労働者は0.6%であり、1,000人中6人程度です。ストレスチェックを実施した事業場のうち、医師による面接指導を実施した事業場は約3割であり、医師による面接指導を実施した事業場のうち、約8割の事業場で、事業場選任の産業医が面接指導を担当しています。

【ポイント】

  • 12%の労働者のストレス状況はわからない
  • 94%の高ストレス者に対してアクションが取られない可能性がある
    ※ 仮に高ストレス者が10%いたとした場合

ストレスチェックの実施率を上げるには

今後のストレスチェックにおいて、受診率を上げ、必要な場合に医師面接指導を受けてもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。

ストレスチェックは、実施することが目的なのではなく、

  • 自分のストレスの状態を把握しセルフケアに活かす
  • 医師の面接指導を受けて助言をもらう
  • 必要なとき、会社側に業務上の措置を検討してもらう
  • ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる

です。ストレスチェックを行うことで早期対応を行い、うつ病などメンタルヘルス疾患を未然に防ぐ、一次予防が目的なのです。メンタルヘルス疾患かどうかを診断するための、ふるいわけ(二次予防)が目的ではないことを注意しましょう。

事業場内におけるストレスチェックの受診率を上げるためには、「ストレスチェックに対する偏見を取り除く」とともに、人事総務から繰り返し周知し、労働者の不利益にならないことを伝えることが不可欠です。

ストレスチェックは、忙しく働く中でストレスを知り、ストレスへの対処法を知る唯一の方法です。このタイミングを最大限活かし、ストレスへの向き合い方を教えていくことはストレス・マネジメントに不可欠です。

ストレスチェックの集団分析を現場に活かそう

集団分析とは、ストレスチェックの結果を職場や部署単位で集計・分析し、職場ごとのストレスの状況を把握することを指します。集団分析の結果を、業務内容や労働時間など他の情報と併せて評価し、職場環境改善に取り組むことは、ストレスチェックを職場環境改善につなげるために有効です。

ストレスチェックを実施した事業場のうち、78.3%の事業場が集団分析を実施しています。

では、集団分析をどのように活かしていけばいいのでしょうか。簡単に説明していきます。手順は以下です。

<職場の管理監督者に、組織分析の結果を伝え、現状の問題を認識してもらう>

<結果をもとに聞き取りを行い、問題と課題を把握して絞り込む>

<分析結果について意見を交換し、現場にあったプランを立案する>

<改善計画の実施責任者を決める>

<改善計画実施のフォローアップ計画を立てる>

<四半期や一年ごとに実施状況を評価し、次年度につなげる>

現状の問題に対して、複数の視点から点数をつけて優先順位をつけるとより絞り込みやすくなります。

集団分析は努力義務ですが、集団分析から新たな計画を立案することで、働きやすい職場環境を構築することができ、メンタルヘルス不調を未然に防止するだけでなく、生産性の向上にもつながるのです。

集団分析に関してはストレスチェックは組織集団分析こそが最大のミッション!に、より詳しく書きました。ご参照ください。

さいごに

ストレスチェックはあくまで事業場内におけるメンタルヘルス対策の一環です。ストレスチェック単体に注目するのではなく、産業医の選任や、社員が相談できる窓口を設ける、メンタルヘルス研修を行うなど、メンタルヘルス対策を総合的に考えていく必要があるのです。メンタルヘルス対策はこれからという事業場にとって、ストレスチェックはいいきっかけとなるでしょう。すでに取り組んでいる事業場も、ストレスチェックを機に現在のメンタルヘルス対策を見直し、より働きやすい環境づくりにつなげていきましょう。

carely_bana_1

Related Posts