生活リズム表をつけない復職判断はあり得ない! 人事必見!

生活リズム表をつけない復職判断はあり得ない! 人事必見!

労働政策研究・研修機構の「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」結果(PDF)によると、メンタルヘルス不調になった人の13.3%が結果として職場を退職していることが明らかになっています。離職率を上げないためにも、休職者への職場復帰支援を行うことは、人事スタッフや産業衛生スタッフの役割の一つです。

病気の改善が十分でないのに復職をしてしまうと、再発による再休職のリスクが高くなります。復職にあたり適切なタイミングかを見極めるために有効な資料が「生活リズム表」です。今回はこの「生活リズム表」について解説していきます。

復職の基準:生活リズム表を活用しよう

休職者が発生した時、上司や人事スタッフ、同僚は、心配な気持ちはありつつも「いつまで休むのだろう」「戻ってきたときに、今までのように仕事ができるのかな」と考えてしまいがちですよね。しかしそれは休職者自身も同じです。「どのような状態になったら復職させてもらえるのか」「自分で病気が改善したと思っても、会社はそう判断しないかもしれない」と、復職に対するさまざまな不安や疑問を抱えています。そのため会社としては、統一した復職基準を設け、それを休職者本人に伝える必要があります。

復職の基準には、いくつか切り口がありますが、以前ご紹介した「3つの安定性」である、「疾病の安定性」、「日常の安定性」、「業務の安定性」は大切です。生活リズム表は、この日常の安定性を見るものになります。

一方、5つの基準という切り口でも同様のことが言えます。復職の条件としては、

  1. 就業意欲力 :従業員が復職に対して十分な意欲を示していること
  2. リズム力 :食事や外出などの生活リズムが整っていること
  3. 回復力  :1日の疲労が翌日までに回復できる体力があること
  4. 通勤力  :通勤時間帯に一人で安全に通勤できること
  5. 適応力  :職場環境に適応できるかどうか

【産業医が教える】人事が復職を判断できる5つの基準でも紹介していますが、上記5つを満たしていることが、復職のために必要な条件となります。

これらが満たされているかどうかと、「業務遂行性」を産業医が見極め、復職が可能かどうかの判断を下します。この中の「リズム力」を確認するために有効なのが「生活リズム表」となります。

なぜ復職に生活リズム表が必要なのか

1. 生活リズム表とは(=生活記録表)

生活リズム表とは簡単な日記の様なもので、日常生活を記録していく用紙のことです。通勤訓練やリワークを行っている場合は、それも記録します。また復職後も3ヶ月目までつけておくと良いでしょう。

2. 生活リズム表をつける理由

  • 生活状況を主治医・産業医・人事が把握して、復職の判断材料にするため
  • 自身の生活を見直すきっかけとなってセルフケアを促進するため
  • 生活リズムを整えるためのモチベーションを上げ、何を改善すればよいのか明確なため
  • 産業医や人事との復職面談時に、復職可否を決める為の客観的な状態であるため

生活リズム表をつけるのには、これらの目的があります。生活リズムを整えることは、復職に向けた第一歩となります。生活リズム表をつけることで、意識が上がり、生活リズムが整いやすくなると共に、主治医や産業医に短時間で正確に生活状況を伝えることができるため、復職の判断がしやすくなるのです。

復職時の生活リズム表の記録方法

1. 生活リズム表をつけ始めるタイミング

生活リズム表をいつから開始させるのかという質問を人事から良く受けますが、タイミングとしては、休職後1〜2ヶ月経過した後に開始する、もしくは主治医の復職可能の診断後最低2週間はつけるように指示する、復職可能の診断書が提出されることを予想して2週間前からそれを指示するの3通りがあります。休職期間満了がどのくらいなのかによって、どのタイミングかは異なりますが、最も効率的なのは予想してつけ始めるです。

復職面談では、必ず生活リズム表を持参するか、メールなどで事前に送ってもらうようにしましょう。

2. 生活リズム表に記録する内容

  1. 起床時間、就寝時間の睡眠状況
  2. 外出した場所、時間
  3. 食事の時間
  4. リワークや通勤訓練、試し出勤の状況
  5. 起床時の疲れ10点満点(←かなり重要です)

記録方法や項目を複雑にしてしまうと、生活リズム表を記録することが負担になってしまいます。一日の生活をざっくりと記録すればよいため、簡単に記録できるような用紙を使用しましょう。

実際に記録をする時は、睡眠時間は青、外出した時間は緑、のように色別にして記入をすると、パッと見てリズムがわかりやすいので、おすすめです。

表

3. 生活リズム表を記録する期間

生活リズム表は、最低2週間は記録しましょう。一般的に休職者のコンディションは、波があるものです。今日の体調が良くても明日悪いことも良くあります。従ってこの波をすべて網羅するためにも2週間は最低でも必要となります。最低2週間は復職後と同じ生活ができていることが合格ラインです。休職直後は就業している時と異なり、寝たいときに寝て、食べたいときに食べる生活を送っています。そのため病気が回復してきて生活リズム表をつけ始める段階になっても、はじめのうちは日によって寝る時間、食べる時間がバラバラといったように、リズムが不安定な記録になります。しかし復職するためにはこれではいけません。毎日同じ時間に起き、日中活動して、同じ時間に就寝するという生活ができなければ、復職は難しいと言っていいでしょう。

4. 生活リズム表の評価方法

生活リズム表でチェックするポイントは、3つです。

1つ目:就業開始時刻に間に合うように一定の起床時間かどうか
2つ目:日中の昼寝、活動が就業状況をイメージしてできているかどうか
3つ目:起床時の疲れが0-1点レベルか(全く起き上がれないのを10点、疲れが解消されているのを0点とした場合)

生活リズム表をつけ始めた直後は、生活リズムが整っておらず昼寝をしていたり、精神的にも回復が十分でないため人と会いたくないと考えがちです。このような状態だと仕事を行うことは難しいため、睡眠スタイルが安定しているか、少しずつ人と会おうという気持ちになれているかを、評価基準の一つにしましょう。

また精神的な回復が不十分な時は、新聞や本などの内容が頭に入ってきません。これだと仕事はできません。集中力を養っていくという意味でも日中を外で過ごして、読書等を通して少しずつ集中力を高めていく過ごし方を指導することも重要です。

どこまで回復したら職場復帰できるのかは、会社の制度によります。中には、8時間フルタイムで働けなければ復帰はNGという会社もあります。一方で5~6時間の短時間勤務から始めることができる会社もあります。会社の復職制度に合わせて復職管理を行っていきましょう。

さいごに

休職規程はさまざまであるため、会社の制度に合わせた休職支援の方向性を考えることも、支援スタッフの大事な役割です。会社の復職条件に達することができているかを評価するために「生活リズム表」を上手く使い、会社側も、休職者本人も安心・納得して復職を迎えられるよう取り組んでいきましょう。

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