育児・介護休業法の改正ポイント3つ

育児・介護休業法の改正ポイント3つ

平成29年3月に育児・介護休業法が公布され、平成29年10月1日に施行されました。今回の育児・介護休業法の改正ですが、どこがどのように変わったのでしょうか。改正のポイントになる部分についてチェックしてみたいと思います。

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法というのは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の通称です。

労働者の仕事と、家庭などでの育児や介護、育児休業・介護休業、子の看護休暇について両立できるように支援するための法律で、事業主に対して、雇用している労働者(男女とも)から、育児や介護の申請があった場合には雇用関係を継続したままで、一定期間の休暇を与えることを認めるよう義務付けています。1992年4月から育児休業法が施行され、1995年に「育児・介護休業法」に改正されました。育児や介護に関わる労働者の時間外労働の制限や、深夜残業の制限、支援措置などについても規定されています。

なお、今回の法改正による1歳6カ月から2歳までの育児休業の対象となるのは、平成28年3月31日以降に生まれた(生まれる)子を養育する労働者で、2歳までの育児休業の対象者は1歳6カ月に達する日の翌日が平成29年10月1日以降ですから、1歳6カ月に達する日が平成29年9月30日以降の子に関するものです。

労働者から事業主への申し出についてですが、口頭での申し出は復職の際のトラブルの原因になりかねませんので、書面により育児休業開始日の2週間前までに行うように周知し、育児休業の申し出に対して事業主は速やかに「育児休業取扱通知書」を交付するようにしてください。

今回の育児・介護休業法の改正のポイントは3つありますので、順番に見ていきましょう。

育児・介護休業法の改正ポイント

ポイント1)育児休業期間の延長

<これまで>

これまでは、一定の事情がある場合には労働者は子が1歳6カ月に達するまでの間育児休業できるとされていました。(原則は、子が1歳に達するまでの間です。)このことは、育児休業制度(法第5条~第9条)に規定されていますが、概要は以下の通りです。

労働者は、事業主に申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間、育児休業を取得できます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。そして、一定の場合には、子が1歳6カ月に達するまでの間、育児休業を取得できます。

<改正後>

育児休業に係る子が1歳6カ月に達する日に、労働者本人または配偶者が育児休業をしている場合に、保育所に入所できないなど、休業が特に必要と認められる場合には子が1歳6カ月に達する日(※)の翌日から子が2歳に達する日までの期間について、事業主に申し出ることにより、育児休業できるようになりました。これに伴って、育児休業終了日の繰り下げ変更については、1歳までの育児休業、1歳6カ月までの育児休業、2歳までの育児休業のそれぞれにつき1回ずつ可能とすることが、事業主の義務になりました。なお、特段の事情があれば、育児休業の撤回後の再度の申し出は認められています。

なお、子が1歳時点で延長することができる育児休業期間は子が1歳6カ月に達する日までで、子が1歳6カ月に達する日の時点で更に休業が必要な場合に限って2歳までの休業の申し出ができます。また、2歳まで育児休業を延長した場合には育児休業給付金の期間も2歳までになります。ただし、育児休業給付金の給付の対象になるのは、育児・介護休業法上の育児休業ですから、平成29年10月1日よりも前に会社の独自の規定で2歳までの育児休業を取得させていた場合には育児休業給付金の給付の対象にはなりません。

労働者が事業主に対して、保育所に入所できないなどの理由で2歳までの育児休業を申し出た場合には、事業主は保育所に入れないなどの証明書類(保育所の不承諾通知書など)の提出がなくても労働者の申し出を拒むことはできません。ただし、育児休業給付の申請に関して1歳又は1歳6カ月以降の延長を行う場合には、その都度「市町村が発行した保育所等の入所保留の通知書など当面保育所等において保育が行われない事実を証明することができる書類」などが原則として必要です。ですから、該当する労働者に対しては、育児休業給付の申請と事業主への申し出の違いとして説明するようにしてください。

※〇歳に達する日
〇歳に達する日というのは、誕生日の前日のことです。これは、年齢計算ニ関スル法律の規定によって決められています。

ポイント2)対象者への育児休業等制度の個別周知

事業主は、労働者やその配偶者が妊娠・出産したことを知ったとき、あるいは労働者が対象家族を介護していることを知ったときには、それらに関連する制度について該当する労働者に個別に制度を周知するための措置を講ずるよう努力しなければならないという努力義務が課せられました。関連する制度というのは、育児もしくは介護に係る休業中や休業後の待遇や労働条件 などの制度を指します。また、労働者が計画的に育児休業を取得できるようにするという指針の趣旨に照らして、企業が独自に設けた両立支援制度もて周知するようにしましょう。

ただし、個別の労働者のプライバシーへの配慮が必要であることから労働者が自ら事業主にそのような状況であることを知らせることが前提となるので、事業主に状況を伝えやすいような環境を用意することが必要です。そのためには、労働者からの相談窓口を設置したり、育児休業やそれに関する制度の利用への申請や利用などに関するハラスメントの防止措置を事業主が講じたりしておく必要があります。

また、上記に併せて労働者が計画的に育児休業を取得できるよう、両立支援制度を周知する際には、パパ休暇(育児・介護休業法第5条第2項の規定による育児休業の再取得の特例)、パパ・ママ育休プラスおよびその他の両立支援制度についても周知することが望ましいとされています。

ポイント3)育児目的休暇の導入の促進および新設

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者を雇用する事業主は、育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務が課されました。

この育児目的休暇の期間や回数について法律では具体的に規定されていないのですが、未就学児を養育する労働者が育児に関する目的のために使える休暇を、子の看護休暇や介護休暇及び年次有給休暇とは別に設けることで努力義務を果たしたとみなされるようです。そのため、「育児に関する目的で利用できる休暇制度」として考えられるのは、配偶者の出産休暇や、子の入園式や卒園式などの行事参加のための休暇、他にも育児にも利用できる多目的休暇などです。また、失効してしまった年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として「育児に関する目的で利用できる休暇」を措置することも含まれます。各企業の実情に応じた整備が望まれます。

育児・介護休業法の改正への対応

育児・介護休業法の改正に対応できる就業規則を

育児・介護休業法が平成29年10月1日に改正施行されたことに伴う就業規則を制定している企業では、改訂などで対応が必要になります。今回の改正ポイントである、育児休業の成長、育児休業などの制度の周知、育児目的休暇の導入促進に関しての改訂です。

厚生労働省の育児介護休業等の規定の規定例が非常に参考になりますので、利用してみても良いですね。また、就業規則の改訂に際しては、法律で定められた手続きを踏まなければなりませんので、手続き方法の詳細に関しては労働基準法第9章をご確認ください。

さいごに

今回の育児・介護休業法の改正は、家庭と職業の両立をする上で非常に意義深いものです。労働者が就業を継続するためにも、早めに改正内容をご確認ください。また、就業規則の改訂が済んでいない場合には早めの対応をお勧めします。

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