障害者雇用促進法の改正は2018年4月1日! 改正のポイントは?

障害者雇用促進法の改正は2018年4月1日! 改正のポイントは?

障害者雇用促進法が今年4月に改正されます。平成30年4月1日に改正される障害者雇用促進法の改正ポイントはどのような内容なのでしょうか。改正前にポイントを押さえておきましょう。

障害者雇用

障害者雇用は、障害のある人が障害のない人とともに個々の能力や適性に応じた職に就いて、地域社会の中で自立した生活を送るために欠かせないものです。

障害者雇用の改正情報を確認する前に現状の障害者雇用について確認しておきたいと思います。厚生労働省の平成28年障害者雇用状況の集計結果によると、雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新したようです。具体的な数字も発表されていました。

民間企業の障害者雇用数

民間企業(法定雇用率2.0%)の場合、雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新し、法定雇用率達成企業の割合は 48.8%(前年比1.6ポイント上昇)です。

  • 雇用障害者数 : 47万4,374.0人、対 前年4.7%(21,240.5人)増加
  • 実雇用率   : 1.92%、対前年比0.04ポイント上昇

障害者雇用が少しずつですが進んでいる状況と言えますね。

公的機関の障害者雇用数

公的機関(法定雇用率2.3%、都道府県などの教育委員会は2.2%)では、雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で同程度もしくは上回るという状況でした。国、都道府県、市町村、教育委員会の障害者雇用数および実雇用率は以下の通りです。

【国の場合】

雇用障害者数 :  7,436.0人(7,371.5人)、実雇用率 2.45%(2.45%)

【都道府県の場合】

雇用障害者数 : 8,474.0人(8,344.0人)、実雇用率 2.61%(2.58%)

【市町村の場合】

雇用障害者数 : 2万6,139.5人(2万5,913.5人)、実雇用率 2.43%(2.41%)

【教育委員会の場合】

雇用障害者数 : 1万4,448.5人(1万4,216.5人)、実雇用率 2.18%(2.15%)

では、平成28年度の状況が分かったところで、障害者雇用の改正についてみていきたいと思います。

障害者の法定雇用率の引き上げ

障害者の法定雇用率が平成30年4月1日から以下のように変更されます。

障害者雇用の法定雇用率
厚生労働省 平成30年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります(PDF)より

障害者雇用の法定雇用率の引き上げにはいくつか注意点があります。

注意ポイントその1) 障害者雇用の対象事業主の変更

障害者雇用の法定雇用率の変更によって、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が変更されます。

<これまで>

従業員50人以上が障害者雇用の法定雇用率の対象でした。

<平成30年4月から>

従業員45.5人以上の事業主が対象になります。

これまでと同様に対象となった事業主は毎年6月1日時点の障害者雇用状況について障害者雇用状況報告書を書面もしくは電子申請によってハローワークに報告義務があります。この報告では、身体障害者、知的障害者及び精神障害者である労働者の雇用状況を報告します。

それから、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努める義務があります。

障害者雇用推進者は、障害者雇用に関して実効ある雇用推進措置及び適正な雇用管理を行わせるための担当者です。主な業務は、障害者の職場環境の整備等を図るための業務、障害者雇用状況に関する業務、障害者雇入れ計画の作成などに関する業務などです。

注意ポイントその2) 平成33年4月までには、さらに0.1%引き上げ

下の図のように、平成30年4月から3年を経過する日より前は民間企業の法定雇用率は2.3%です。ただし、具体的な次回の引き上げ時期は、今後の労働政策審議会で議論されることになっています。なお、障害者雇用の法定雇用率が2.3%になった場合には対象となる事業主の範囲が従業員数43.5人以上に拡大されますのでご注意ください。

平成33年4月からさらに引き上げ
厚生労働省 平成30年4月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります(PDF)より

障害者雇用に関する注意点

今回の障害者の法定雇用率との改正とは違いますが、障害者雇用をする上で注意しておきたい点とは少々違いますが、「合理的配慮」」について、ぜひ知っておいてほしいと思います。

合理的配慮というのは、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害を理由とする差別の解消を推進するためのものです。障害者が就業する上では、障害のない人と全く同じ環境では不都合の生じる部分がありますから、その不都合な部分を負担に感じない範囲で解消する努力をしましょうというものですね。

障害者雇用をする上での合理的配慮というのは、障害者と障害のない人との均等な機会や待遇の確保、障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために必要な措置をさします。もちろん、個々の障害者の障害の状態や職場の状況に応じて事業主側ができることに違いはあります。同じ名前の障害でも一律の対応をすれば良いわけではない部分が難しい部分なのですが、合理的配慮を行う際には、障害者と事業主で定期的に面談をするなどしてお互いの考えを確認して話し合う中で、どのような措置を講ずるかを決定することが重要です。

障害にはたくさんの種類があり、人の数だけ程度に差があると言っても過言ではありません。また、障害を負うことになった理由やその後の経過の違いも現状に対する不都合の度合いに関連しているケースがたくさんあります。例えば、聴覚に障害がある場合には、小さな音が聞こえない、大きな音でもわずかに聞こえるだけ、全く聞こえないなどですが、そこに至るまでの過程で「聞く」ということに対してだけではなく「話す」ということに関しても大きな差が生じていることもあります。ほとんど聞こえず、手話などのコミュニケーション手段を用いる「ろう者」、補聴器などを用いて音声でのコミュニケーションが図れる「難聴者」などですが、聴覚障害ひとつでもこんなに違いがあるのです。その障害が生まれた時からなのか、成長の過程でのことなのか、あるいは事故や病気などに起因するものなのかで発する言葉の明瞭さに違いがあったりします。

初めての障害者雇用へ向けて

これまで従業員数が障害者雇用率の対象の範囲に入っていなかった場合でも、今回の改正で対象になる事業主が拡大されます。障害者雇用に関して、初めてで戸惑うこともあると思います。障害の種類や程度に関係なく、採用した障害者と定期的に面談をしたり、また、障害者雇用に関する担当者を設けたりすることで業務の指導や相談に対応したりすることで障害者が円滑に業務に取り組むことができるように配慮することで、職場への定着が望めます。

それから、平成28年4月1日に施行された「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下、障害者雇用促進法といいます。)の第三十六条の四では、障害者からの相談に適切に対応するために、相談窓口の設置などの相談体制の整備が義務づけられています。

第三十六条の四 事業主は、前二条に規定する措置を講ずるに当たつては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。
2 事業主は、前条に規定する措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

相談体制の整備その他の雇用管理上必要な措置として、以下のものがあります。

  1. 相談窓口を事前に定めて労働者に周知してください。
  2. 相談者のプライバシーを保護するために必要な措置をとってください。
  3. 相談したことを理由とする不利益な取扱いを禁止し、労働者にその周知・啓発をしてください。

障害者雇用の上での注意点として、今回の障害者の法定雇用率との改正とは違いますが、障害者雇用をする上で注意しておきたい点とは少々違いますが、「合理的配慮」について、ぜひ知っておいてほしいと思います。

さいごに

障害者雇用の法定雇用率が変更されることで、これまで対象外だった事業主でも該当になることがあります。その際には、障害者と障害のない労働者がお互いに気持ちよく就業できるように合理的配慮を推進するなどの対応をしてください。

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