障害者雇用の助成金と税制の優遇制度を確認しましょう

障害者の法定雇用率が平成30年4月1日から改正されますね。障害者雇用には何種類かの助成金と税制上の優遇がありますが、ご存知でしょうか。今回は助成金の種類と税制の優遇についてご案内します。

障害者雇用とは

平成30年4月1日に改正される障害者の法定雇用率は、障害者が障害のない人と共に社会に参加し、地域で暮らし、地域の一員として自立するためにも必要なものです。法定雇用率を満たすためには障害者を採用し、雇用しなければなりません。

障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、障害者雇用促進法といいます。)に基づいて、障害者を雇用することを障害者雇用といいますが、障害者雇用の法定雇用率を満たすには身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を雇用することが条件にあります。しかし、その一方で、障害者雇用に関する助成金については、上記の手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの場合も対象となりますし、ハローワークや地域障害者職業センターなどの支援については、「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象です。

障害者雇用に関する助成金

障害者雇用に関する助成金にはたくさんの種類がありますので、概要だけご案内します。各助成金に関する詳細はリンク先の厚生労働省のwebにてご確認ください。

なお、雇用関係の助成金を受給する場合に生産性要件を満たす場合には助成金の割り増しがあります。生産性要件に詳細については、厚生労働省のwebでご確認ください。→ 厚生労働省「生産性要件

【 障害者を新たに雇い入れた場合の助成金 】

1. 特定求職者雇用開発助成金(平成29年4月1日より、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)を名称変更)

a. 特定就職困難者コース

→ 高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れた場合です。

高年齢者や障害者などの就職困難者をハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れ、雇用保険一般被保険者として継続して雇用することが確実であると認められた場合に事業主に対して助成されます。

b. 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース(旧 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金)

→ 発達障害者または難治性疾患患者を雇い入れた場合です。

発達障害者や難治性疾患患者をハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れ、一般被保険者として継続して雇用することが確実であると認められた場合に事業主に対して助成されます。

c. 障害者初回雇用コース

→ 障害者を初めて雇い入れた場合です。

障害者雇用の経験がない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる労働者数50~300人の中小企業)が障害者を初めて雇用した場合で、1人目の障害者を雇い入れた日の翌日から起算して3カ月後の日までの間に、雇い入れた対象労働者の数が法定雇用障害者数以上になって、法定雇用率を達成することが必要です。なお、1人目の障害者の雇い入れの日の前日までの過去3年間に、障害者雇用の実績がない事業主が対象とされます。

2. トライアル雇用助成金

d. 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

→ 障害者を試行的・段階的に雇い入れた場合です。

ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れた障害者に対し、トライアル期間について雇用保険被保険者資格取得の届出を行うことが必要です。ただし、全ての障害者に対して適用されるのではなく、障害者雇用促進法に規定される障害者のうちの一部の人だけが対象になりますのでご注意ください。

【障害者などの雇用環境整備関係の助成金】

3. e. 中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金

→ 施設整備をして5人以上の障害者を雇い入れた場合です。

支給申請の時点で常用労働者数が300人以下の事業主が、障害者の雇入れに係る計画を作成し、その計画に基づき障害者を10人以上雇用し、さらに障害者の雇い入れに必要な事業所の施設・設備などの設置・整備をした場合に、その施設・設備などの設置などに必要な費用に対して助成がされます。

4. 障害者雇用安定助成金

f. 障害者職場定着支援コース

→ 障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じた場合です。
障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫などの措置(6種類あります。※)を講じる事業主に対して助成されます。

※6種類の措置は以下のものです。

  • あ)柔軟な時間管理・休暇取得
  • い)短時間労働者の勤務時間延長
  • う)正規・無期転換
  • え)職場支援員の配置
  • お)職場復帰支援
  • か)社内理解の促進
g. 障害者職場適応援助コース

→ 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施した場合です。

職場適応・定着に特に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者による支援を実施する事業主に対して助成されます。障害者が職場に適応するために 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構地域障害者職業センターが作成または承認する支援計画で必要と認めた支援を、訪問型職場適応援助者または企業在籍型職場適応援助者に行わせた場合に受給することができます。

h. 障害・治療と仕事の両立支援制度助成コース

→ 労働者の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための制度を導入する場合です。

労働者の障害や傷病の特性に応じた治療と仕事を両立させるための制度を導入する事業主に対して 助成されます。

5. i. 障害者職業能力開発助成金(PDF)

→ 障害者の職業訓練の施設整備などの能力開発訓練事業を行う場合、あるいは障害者の職業訓練の運営などの能力開発訓練事業を行う場合です。障害者の職業能力の開発や向上のために、障害者職業能力開発訓練事業を行うために必要な施設や設備の設置・整備または更新を行う事業主および障害者に対して助成がされます。

6. j. 障害者作業施設設置等助成金(PDF)

→ 障害者のための作業施設を整備する場合です。新たに雇い入れる、あるいは継続して雇用する障害者の障害特性による就労上の課題を克服する作業 施設等の設置・整備を行う事業主に対する助成で2種類あります。

  1. 「第1種 作業施設設置等助成金」(事業主が作業施設等を工事、購入等により設置・整備することを助成)
  2. 「第2種作業施設 設置等助成金」(事業主が作業施設等を賃借により設置・整備することを助成)

7. k. 障害者福祉施設設置等助成金(PDF)

→ 障害者のための福祉施設を整備する場合です。

継続して雇用する障害者の福祉の増進のための福祉施設などの設置や整備を行う事業主やその事業主が加入する事業主団体に対して助成がされます。

8. l. 障害者介助等助成金(PDF)

→ 障害者のための雇用管理上必要な介助措置を実施する場合で、3種類あります。

  1. 「職場介助者の配置または委嘱助成金」(職場介助者を配置または委嘱することを助成)
  2. 「職場介助者の配置または 委嘱の継続措置に係る助成金」(職場介助者の配置または委嘱を継続することを助成)
  3. 「手話通訳担当者の委嘱助成金」(手話通訳担当者を委嘱することを助成する)

9. m. 重度障害者等通勤対策助成金(PDF)

→ 障害者の通勤を容易にさせる措置を実施する場合で、8種類あります。

  1. 「重度障害者等用住宅の 賃借助成金」(障害者を入居させるための住宅を賃借することを助成)
  2. 「指導員の配置助成金」(障害者5人以上が入居する住宅に指導員を配置することを助成)
  3. 「住宅手当の支払助成金」(障害者に住宅手当を支払うことを助成)
  4. 「通勤用バスの購入 助成金」(障害者5人以上の通勤のためのバスを購入することを助成)
  5. 「通勤用バス運転従事者の委嘱助成金」(障害者5人以上の通勤のためのバスの運転手を委嘱することを助成)
  6. 「通勤援助者の委嘱助成金」(通勤援助者を委嘱することを助成)
  7. 「駐車場の賃借 助成金」(自動車通勤を行う障害者のための駐車場を賃借することを助成)
  8. 「通勤用自動車の購入助成金」(自動車通勤を行う障害者のための自動車を購入することを助成)

10. n. 重度障害者等多数雇用事業所施設設置等助成金(PDF)

→ 障害者のための事業施設を設置する場合です。多数の障害者を雇用し、障害者が就労するために必要な事業施設などの整備などを行う事業主に対して助成がされます。対象施設等の種類によって個別に算定されます。

障害者雇用する前に助成金の確認を

障害者雇用が推進されている真っただ中の現在、国が定めた各種の助成金がありますが、助成金によって申請のための条件が違います。また、申請する時期が決められているものもあります。ですから、障害者雇用をする前に、各種の助成金について確認し、助成金を有意義に使えるようにしてください。

雇用関係助成金に共通の要件を確認

上記のように、障害者雇用に関する助成金はかなりの種類があります。雇い入れの際にハローワークの紹介が要件になっているものもありますので、募集を検討する段階で助成金の有無と該当しそうなものがどれなのかをまずご確認ください。助成金によって申請(受給)のための条件や期間や金額は異なりますが、雇用関係の助成金に共通する要件もありますので、ご案内します。

受給できる事業主

助成金ごとに異なる受給要件だけではなく、以下の要件をすべて満たすことで受給対象になります。

その1) 雇用保険適用事業所の事業主であること
その2) 支給のための審査に協力すること
・支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管
・支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じる
・管轄労働局等の実地調査を受け入れる    など
その3) 申請期間内に申請を行うこと

助成金ごとの受給要件に比べて決して難しいものではないことが分かりますね。

受給できない事業主

以下のいずれかに該当する場合には雇用関係助成金の受給ができませんので、ご注意ください。

その1) 不正受給をしてから3年以内の支給申請や支給申請日後から支給決定日までの間に不正受給をした
その2) 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない(支給申請日の翌日から起算して2カ月以内に納付を行った事業主は除きます。)
その3) 支給申請日の前日から1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった
その4) 性風俗関連営業、接待を伴う飲食などの営業(一部の受託も含む)をしている
その5) 暴力団関係
その6) 倒産している
その7) 不正受給が発覚した際に都道府県労働局などが実施する事業主名などの公表について、事前に同意していない

障害者雇用に関する税制上の優遇

障害者雇用に係る税制上の優遇措置もありますので、ご案内します。なお、この税制優遇制度は平成29年4月現在のものです。要件などが変更されることもありますので、ご注意ください。

この優遇制度は、多数の障害者雇用をする場合や障害者の就業に対して積極的な企業に対してのものです。利用できる税制の優遇制度は、以下の通りです。

  1. 機械等の割増償却措置(法人税・所得税)
    → 適用期限は平成30年3月31日です。
  2. 助成⾦の非課税措置(法人税・所得税)
    → 恒久措置のため、適用期限はありません。
  3. 事業所税の軽減措置:資産割のみ
    → 恒久措置のため、適用期限はありません。
  4. 不動産取得税の軽減措置:ハローワークで要件の確認が必要です。要件に合うと証明書が発行されます。
    → 適用期限は平成31年3月31日です。
  5. 固定資産税の軽減措置:ハローワークで要件の確認が必要です。要件に合うと証明書が発行されます。
    → 適用期限は平成31年3月31日です。

さいごに

障害者雇用に関しては、さまざまな助成などがあることがお分かりいただけたと思います。法定雇用率の改正前に、障害者雇用計画を立て、ぜひ継続雇用につなげてください。助成金や税の優遇など、使える制度は有意義に活用してくださいね。

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