復職前の手続きで必要な資料、鉄則の2つを知ろう!

復職前の手続きで必要な資料、鉄則の2つを知ろう!

近年多くの会社ではメンタルヘルス不調による休職者が、身体面の不調による休職者を上回ってきています。休職者が増加することは、労働力の低下を意味するため、休職となった従業員を復職に導くことは、人事や産業衛生スタッフの大きな課題と言えます。復職に向け、どのように介入するべきか、そして復職前はどのような手続きが必要なのか。今回は、復職前に人事が用意すべき書類を、復職前の経過と一緒に解説していきます。

復職前の手続きのため、経過を知ろう

「休職者が復職する前は、どういう流れをたどり、どのような手続きが必要なのか」。人事としては理解しておくべきですが、難しいですよね。まずは復職前、休職者がどのような経過をたどるかを確認しましょう。

休職中の経過は「からだをしっかりと休める期間」と「復職に向けて準備をする期間」の2段階に分けることができます。

休職に入ると、まずは体を休めて、回復を目指すことからスタートします。身体面の場合は病院で治療を行い、メンタルヘルス不調の場合は自宅(時には病院)で休息を取ることで、睡眠が取れ、食事が食べられるといった日常生活を送れるようにすることを一つ目の目標にします。これが1段階目の「からだをしっかりと休める期間」です。

日常生活が送れるようになったら、2段階目の「復職に向けて準備をする期間」になります。この期間は、復職に向けて生活リズムを整えることを目標にします。「からだをしっかりと休める期間」では、好きな時に眠り、好きな時に食べる生活でいいのですが、復職するためにはこれではいけません。規則正しい睡眠パターンを作り、3食規則正しく食事を取ることを目指していきます。仕事をするためには通勤ができることや、一日の疲れを次の日の朝までに取ることも必須です。復職後、これらをできるようにするために、ケースによっては、通勤訓練(※1)や、リワーク施設(※2)に通うことを推奨することで、復職できるようサポートすることもあります。

生活リズムが確立し、通勤訓練やリワーク施設での訓練が順調に進んだら、人事や産業衛生スタッフは、復職の手続きに向けて動き出す必要があります。

※1(通勤訓練):会社の就業時間に合わせて、自宅から職場の近くまで通勤経路で移動し、就業時間の間、図書館やカフェで過ごすことで、就業している時と同じ生活スタイルを行う。体力や精神的な気持ちがついていくかを見極めることで、従業員自身が不安を和らげながら、復職準備を行える。

※2(リワーク施設):継続的に通うことで、復職に必要な生活リズムを身に付けるとともに、プログラムに沿って軽作業を行うことで、復帰に向けたウォーミングアップを図ることができる施設のこと。

休職中の過ごし方に関しては、こちらにより詳しく述べられています。→社員がうつ病で休職!! 休職中の過ごし方とは

復職前に手続きで「必須」な資料2つ!

復職が視野に入ってきたら、復職に向けて必要な書類を準備しなければなりません。絶対に必要な書類は「主治医の診断書」と「産業医の意見書」です。

復職する場合、

  1. 主治医に復職可能の診断をもらう
  2. 産業医が復職可能かを判断する
  3. 事業主が復職を決定する」

の流れになります。

1)主治医の診断書

休職に入る場合、休職者はかかりつけ医で、休職が必要である旨の診断書を出してもらいます。同じように復職をする際も、主治医に復職可能かを診断してもらい、診断書という形で明確にしてもらう必要があります。もし主治医の診断に不透明な部分があり、十分信頼ができないと会社側が感じた際は、休職者に会社側が指定した医師への受診を指示し、再判断を依頼することもできます。しかしこれは、このようなケースがあることを、あらかじめ就業規程で定めていることが前提となります。自身の会社の就業規程に記載されているかをチェックしましょう。
主治医の診断は、あくまで「日常生活ができるかどうか」を診断しています。そのため、就業して仕事を遂行できるかどうかの判断とは別物です。実際に就業するためには、主治医の診断をもらった後、産業医にその会社の業務が遂行できるかを見極めてもらう必要があります。

2)産業医の意見書

産業医は以下の5つを基準にして復職を判断します。

  1. 従業員が復職に対して十分な意欲を示していること(=就業意欲力)
  2. 食事や外出などの生活リズムが整っていること(=リズム力)
  3. 1日の疲労が翌日までに回復できる体力があること(=回復力)
  4. 通勤時間帯に一人で安全に通勤できること(=通勤力)
  5. 職場環境に適応できるかどうか(=適応力)

これらの基準にプラスして、上司と職場の環境や受け入れ態勢を考慮しながら、復職の可否と時期を検討します。そして検討した事柄を、「職場復帰に関する意見書」として作成してもらい、会社側が復職を決定するための材料にします。産業医の判断は、あくまで判断であり絶対ではありません。復職の決定権は会社側にあるため、産業医が復職可能と判断しても、復職を認めるかどうかは会社の決定に委ねられています。

では産業医意見書に記載すべき内容を確認しましょう。

  • 職場復帰に関する意見
  • 復職の可否(可の場合、条件はあるかないかも)
  • 短時間勤務や、残業禁止、外勤禁止など、就業上の措置に関して
  • 措置期間

まず復職に対する産業医の意見として、復職が可能な状態なのか否か、あるいは条件付で可能なのかの判断が必要です。

復職が可能(または条件付で可能)な場合は、時間外勤務、短時間勤務、交替勤務、休日勤務、出張、配置転換、異動、作業転換に関する就業上の措置が必要であれば、細かく意見をもらいます。これらの措置の期間も指定してもらいます。就業上の措置がある場合は、措置がなくなるまで定期的にフォローし、意見書を更新していきます。

復職前の手続きで、押さえとくべき資料3つ

1)生活リズム表(=生活記録表) 必要度★★★☆☆

休職中、どのような生活を送っているのかを、医師や会社側が把握するために休職者自身に記載してもらい、復職の判断材料にします。外出はしているか、食事はどうかといった生活記録を最低2週間はつけてもらいましょう。生活リズム表をつけることで、産業医の5つの復職判断基準の一つである「リズム力(食事や外出などの生活リズムが整っていること)」を評価できます。また休職者自身が記載することで、自身の生活を見直すきっかけとなり、生活リズムが安定しやすくなる効果もあります。最低2週間は通常勤務と同じ生活ができていれば合格です。

2)復職願 必要度★★☆☆☆

復職願とは、復職を希望する場合に本人が会社へ提出する書類です。主治医の診断書とともに提出することが一般的であり、本人に復職の意欲があるという意思表示になります。復職の際、主治医の診断書は必須ですが、復職願は提出を義務付けている会社と義務付けていない会社があるため、会社の就業規程でどのように定められているかを確認しましょう。提出が必要な場合は「復職希望の意思」、「復職希望日」、「復職可能となった事情」(例:体調が改善した)を記載してもらい、添付資料として診断書を付けるよう指示しましょう。

3)(職場)復職支援プラン 必要度★★★★★

この復職支援プランはほぼ必須といえる重要な資料です。
復職が決定したら、上司や人事は復職に向けた準備をしなければなりません。休職者の状況や職場環境を考慮して、復職後の業務計画を立てるのが復職支援プランです。基本的には直属の上司が作成して、人事や産業衛生スタッフと共有を行います。
以下の項目について検討し、プランを作成しましょう。

  • 職場復帰日
  • 管理監督所による就業上の配慮(例:業務内容や業務量の変更、業務サポート)
  • 人事労務管理上の対応(例:配置転換の必要性)
  • 産業医による医学的見地からみた意見
  • 就業後の管理監督者や産業衛生スタッフによるフォローアップ

この復職支援プランと産業医指示書が揃えば、いよいよ復職となります。

さいごに

復職前に必要な鉄板の書類は「主治医の診断書」と「産業医の指示書」です。
これらがどのような役割を果たし、どのタイミングで必要になるのかを再確認して、復職時にスムーズに手続きができるようにしましょう。

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