発達障害は仕事ができないような状態なのか? 会社としての取り組み方

発達障害は仕事ができないような状態なのか? 会社としての取り組み方

一昔前と比べ「発達障害」が一般的に聞かれる言葉になってきました。発達障害に対する社会の認識も変わってきましたが、発達障害だと仕事ができないのでしょうか。会社としての取り組み方をお話ししたいと思います。

そもそも、発達障害とはどのようなものなのでしょうか。もう部科学省や厚生労働省のWebサイトで確認してみたいと思います。

発達障害とは

発達障害とはどのようなものなのでしょうか。まずは、厚生労働省のWebサイトで確認してみました。

文部科学省によると「発達障害者支援法」では発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義しているそうです。ちなみに、この「発達障害者支援法」は平成28年8月1日に施行された比較的新しい法律です。

発達障害は医学的には脳機能障害の一つで、先天的なものですが、適切な支援を行うことで発達障害の症状を緩和させることもできます。発達障害の種類によって得意とする分野、苦手とする分野がありますので早い段階で特異な分野を見つけることができればその分野において非常に高度な能力を発揮することが期待できます。

では、ここで達障害者支援施策も行っている厚生労働省が公開している図解が非常に分かりやすいのでご覧いただきたいと思います。

発達障害それぞれの特性
厚生労働省 発達障害の理解のために(PDF)

このように、発達障害は同じ障害名の診断をされたからといって似たような症状・状態とは言えないものです。人間が持っているさまざまな能力のうちのどの能力に障害があるのか、その障害がどの程度なのかは人によって違います。これは、発達障害のある人が大人でも子どもでも言えることです。また、発達障害を抱える方の場合には複数の症状を併せ持っている人が多くいます。ですから、何か特定の症状に対応するだけではなく、ここが抱える症状を総合的に見て、それに合わせた対応が必要なことも発達障害を抱える人への対応を困難にしている面もあります。

発達障害者支援法とは

2004年(平成16年)12月に成立し、2005年(平成17年)4月に施行された発達障害者に対する自立と社会参加について定めた法律(平成16年法律第167号、以下支援法)で発達障害者を支援するためのものです。発達障害を早めに確認し、国や地方公共団体、国民が支援することや責任を明確にすることを目的にしています。学校などでの教育はもちろんですが、発達障害者の就職に関しても自立や社会参加の観点から支援していきます。症状を併せ持っていることも多くあります。

発達障害の主な3つのタイプ

先ほどの厚生労働省の「発達障害の理解のために(PDF)」にもありましたが、発達障害は大きく3つのタイプ(アスペルガー、ADHA、LD)に分けられます。アスペルガー(言葉の発達の遅れはあまり見られませんが、他者とのコミュニケーションや社会性を構築するのに困難があったり、行動がパターン化していたり、特定のものに対して興味や関心が大きく偏っているなど)、ADHD(病的に集中できなかったり不注意が目立つ、じっとしていられなくて動き回ったりしゃべり続けたりする、考えるよりも先に衝動的に動いてしまう)、LD(全体的な知的発達に比べて読み、書き、計算などを極端に苦手とする)などがあります。

子どもの場合には、学校でのクラスメートと一律で進められる学習に困難を伴ってしまう、授業中じっと座っていることが難しい、友達と仲良く遊べないなどがよく聞かれますね。大人の場合には、発達障害が理由で仕事ができないというケースもあります。

ここで、注目したい点があります。発達障害を抱える人は確かに特定の能力に関しては不自由な状態にありますが、逆に他の特定の分野に関しては専門家以上ではないかと思うような能力を持っていることもあります。ですから、早い時期に発達障害に関しての理解を得られた人であれば特異な分野をより高度なものに発展させられる可能性もあります。

発達障害者の割合

では、この発達障害はどのくらいの割合の方が抱えているものなのでしょうか。気になったので文部科学省のWebサイト「特別支援教育について(通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について)」で調べてみました。それによると、約6.5パーセント程度の割合で通常の学級に発達障害を抱える児童や生徒が在籍している可能性があるそうです。約6.5パーセントはだいたい15人に1人くらいの割合ですから、そんなに珍しいという状況ではないことが分かります。大人の発達障害に関しても、決して珍しいものではなくなってきました。

発達障害者の抱える「仕事」への悩み

発達障害者だから仕事ができないのではないかという周りの目も影響しているのかもしれませんが、発達障害者の方が抱える悩みの中で仕事ができないというものがあります。いくつか、確認してみましょう。

発達障害者だから仕事が長くできない?

発達障害と一言でまとめることは非常に難しいのですが、例えば周りの人とコミュニケーションをとることが難しかったり苦手意識を持っていたりすることも多くあります。また、一つだけの仕事は問題なくできてもいくつかの仕事を同時に進めていくことが難しいというようなケースもあります。突然の予定の変更への対応が難しいという傾向もあります。このように発達障害を抱える方々は、提携発達の人とは物事を違う捉え方をしたり、新たな情報の処理の仕方が違ったりしていますので、なかなか仕事が続けられない場合が多いようです。

全ての発達障害の方が同じ内容の障害を抱えているわけではなく、その内容も併発している障害の種類や程度も違うことから、周りもなかなか対応に苦慮してしまうという事情もあります。また、発達障害であることを本人も周りの人々もうまく受け入れることができないというケースも多くあります。

発達障害者だから仕事中に自分をコントロールできない?

発達障害を抱える方の中には、自分の気持ちに反することがあると気持ちのコントロールができなくなってしまって突然怒りだしてしまったり泣き叫んだりしてしまう人もいます。周りの人からすれば、変わった人だなという目で見られることもありますが、本人は自分自身をコントロールできない状態になっているのでどうにもできません。また、定型発達の人に比べて感覚が繊細な場合も多いので、周りの多くの人にとっては何ともないこともとても気になってしまって仕事に集中できなくなってしまうこともあります。周りには分からなくても本人には重大な問題の場合も多いので早めの対応が必要です。落ち着きがなく行動をコントロールできなかったり、感情をコントロールできなかったり、コントロールできなくなるものはさまざまですが、その人の障害の特性に合った業務に就くと問題が軽減されることもあります。

発達障害者だから自分に合う仕事とできない仕事が判断できない?

なかなか仕事が長続きしない、すぐに退職してしまうなど本当に数えきれない悩みがあると聞きます。会社として、その人の発達障害の特性を理解して、障害の特性にあった業務に就けるように配慮してみてください。自分自身では判断が難しい部分もあると思いますので、比較的向いているケースが多い業務などをご案内していきたいと思います。

よく発達障害の方に経理が向いているといわれますが、全ての発達障害の方に当てはまるわけではありません。他にもプログラマーやカメラマンなどの作品が成果としてでき上がるものに向いている業務が多いように感じます。その一方で、接客や電話のオペレーターや営業職など、対人関係の中で複数の物事を同時に進めていく必要のある業務が苦手とされるものが多くあります。

発達障害に対する会社の取り組み方

今では決して珍しくない発達障害ですが、会社としてはどのように取り組んでいけば良いのでしょうか。

発達障害の労働者への対応法その1) 指示を明確にする

突然の予定変更に戸惑いやすかったり対応が難しかったりという特性を理解し、いろいろな人が指示を出すのではなく指示系統を明確にしてください。また、指示を出す際にはその後の予定や見通しなども説明するとより安心して業務に取り組みやすい状況を作ることができます。

発達障害の労働者への対応法その2) 五感の敏感さに配慮する

他の人たちにとっては何でもないことに関しても発達障害の方々の場合には一般の人より過敏な感覚過敏と逆に鈍感な感覚鈍麻があります。聴覚、触角、視覚などをはじめとする五感に関する違う感じ方を持っていて日常生活や社会生活に影響があるほどの場合には配慮が必要です。
大きな音が苦手な場合には社内でのイヤホンや耳栓の着用を認めたり、電話から離れた席にする、蛍光灯のちらつきが気になったりパソコンの画面を長時間見ることができないなど、さまざまな困難があります。特定の色の光の波を軽減するサングラスなどの使用を許可するなども対応方法としては有効です。

発達障害の労働者への対応法その3) 無理に付き合いをさせない

飲み会も仕事のうちという考え方もありますし、それを否定するわけではありませんが、発達障害の方々の場合には複雑な人間関係やたくさんの人の中に入ることを苦痛に感じる人もいます。ですから、そのような場には無理に誘わないでください。

発達障害の労働者への対応法その4) こだわりに向いているものを

全てのこだわりを認めることは難しいかもしれませんが、許容範囲のものに関してはできるだけ大らかに認めてあげるようにしましょう。こだわりが強いために柔軟に想像したり考えたりすることが難しいという側面に対応する為に、発達障害の方がその人固有の安心感を求めることがよくあります。安心して業務に就くことやそのような環境を求めているとも言えます。ただ、このこだわりも必ずしも仕事をする上でマイナスになるとは限りません。例えば、主観的な要素などは関係なく数字などから事実だけを見つけること、ルールにのっとって地道な作業をコツコツすることなど情報を正確に処理する業務は比較的向いているものです。

これらのことから、発達障害を抱える人に会社ができる対応は、特異な分野を見つけて向いている業務に就くことを前提にして考えることをお勧めします。発達障害者の長所をどのように活かしていくことができるかということが大事ですね。

行政を活用しましょう

厚生労働省には障害者福祉の一環として発達障害者支援施策を行っています。その中に、精神・発達障害者しごとサポーターというものがあります。これは、企業における障害者雇用の取り組みが進んでいく中で、精神障害および発達障害のある労働者が増加していることと関連しています。障害者の法定雇用率が平成30年4月1日から引き上げになったこともあり平成30年4月1日以降は、精神障害者も法定雇用率の算定に入れられることになりました。

障害者の法定雇用率
厚生労働省 障害者の法定雇用率が引き上げになります(PDF)

このような状況にありながらも、精神・発達障害者の職場定着は、必ずしも順調ではないという現実問題もあります。雇い入れるだけではなく、どのように雇用を継続していくかに気を配らなければならないのは社会の共通認識にもなってきているとは思いますが、職場定着に至らない多様なこともあり難しい状況です。

精神・発達障害者の同僚として就業する労働者に精神・発達障害者に対して正しい知識をもって温かく見守って支援するために厚生労働省では、精神・発達障害者しごとサポーター養成講座(2時間程度)を全国各地で開催しています。

このような講座を受講することで周りからのサポート体制を整えておくと良いですね。

さいごに

発達障害者は仕事ができないというのは、周りからの正しい理解と適正にあった業務につけていないために生じている問題です。特性に合った業務に就けるようにし、障害の有無に関係なく活躍できる体制づくりを進めていきたいものですね。

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