子育て支援の「くるみん」、基準が改正。くるみん税制も改正!

子育て支援の「くるみん」、基準が改正。くるみん税制も改正!

平成29年4月1日より次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみん認定)と特例認定(プラチナくるみん認定)の基準の見直しがされていますが、新しい基準への対応は順調にできていますか?

そもそも「次世代育成支援対策推進法施行規則」とは?

子育てしやすい社会の実現を目的に制定された「次世代育成支援対策推進法(次世代法)」および次世代育成支援対策推進法施行規則は、平成15年7月に成立された10年間の時限立法でしたが、平成26年の改正でさらに追加で10年間の延長が決められたものです。育児介護休業法、女性活躍推進法、児童手当法などと関連があります。

くるみん認定やプラチナくるみん認定の基準と深く関係しています。

くるみん認定とは

くるみん認定とは、子育てをサポートする企業として、厚生労働大臣(都道府県労働局⻑へ委任)が次世代育成支援対策推進法に基づいて企業に対して行う認定です。くるみん認定を受けるためには、企業が次世代育成支援対策推進法に基づいた行動計画の策定と届け出を⾏って、その⾏動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たして申請する必要があります。そして、その一定の要件を満たしたと認められた場合に子育てサポート企業として認定を受けられるというものです。ですから、くるみん認定のマークは厚生労働大臣のお墨付きをもらった子育てサポート企業の証でもあります。ちなみに、平成29年3月末時点で、2,695社が認定を受けていましたが、平成29年11月末時点では認定数が2,825社に増えています。複数年に渡って認定を受けている企業もあり、認定数も増えてきていることから制度の広がりを感じますね。

なお、上記の認定社数は認定決定をした企業のうち、公表することに了解を得た企業のみの件数です。

プラチナくるみん認定とは

プラチナくるみん認定とは、くるみん認定企業の中でもより高水準の取り組みを行った企業に対して特例認定を受けたものを指します。平成27年4月1日から新たに始まった「プラチナくるみん認定」ですが、くるみん認定を既に受けている企業が対象で、両立支援の制度の導入や利用が相当程度に進み、高い水準の取組を行っている企業が要件を満たした場合に認定されるもので、継続的な取組を社会全体に促進するために設けられました。

平成29年3月末時点で、118社が認定を受けていましたが、平成29年11月末時点では認定数が175社になりました。なお、この認定社数は認定決定をした企業のうち、公表することに了解を得た企業のみの件数です。

くるみんマークが刷新されました!

さて、くるみんの認知度が高まってきたところでくるみんマークが刷新され、より分かりやすいものになりました。2017年4月1日から、くるみんの認定基準と認定マークが新しいものに変更されました。

マークの最上部に認定を取得したのがいつなのかが明記され、これまでにくるみん認定を受けた回数が星の数で表されるようになりました。

くるみんマーク
厚生労働省 くるみん認定 プラチナくるみん認定の認定基準・認定マークが改正されます(PDF)より

くるみん認定を受けた企業はくるみんマーク、プラチナくるみん認定を受けた企業はプラチナくるみんマークと使い分けられています。認定を取得した企業にとっては、求職活動中の目にも止まりやすくなりますし、何よりも子育てサポートをしている企業としてよりアピールしやすくなったのではないでしょうか。

くるみんの認定基準などの改正ポイント

くるみん認定やプラチナくるみん認定を取得するためには基準をクリアしなければなりませんが、この基準が改正されました。どのような点に気を付ければ良いのか、認定基準などの主な改正ポイントについて確認しておきたいと思います。

くるみん認定:男性育休取得率はより⾼い目標へ

男性の育児休業(以下、育休と言います。)取得率の認定基準が、これまでの「1人以上」から「7%以上」に改正されました。育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、育児介護休業法といいます)では、女性労働者だけではなく男性労働者にも育休の取得を認めています。

このように、法律上は育休は性別に関係なく認められているのですが、実際には状況は違います。厚生労働省雇用均等・児童家庭局の委託事業「育メンプロジェクト」などもあって男性の育児参加が社会的に進められているような気もしますが、実際にどのくらいの男性が育休を取得しているのか確認しておきたいと思います。

厚生労働省の「平成28年度雇用均等基本調査(確報)」によると、男性の有期契約労働者の育休取得率は3.42%で、前回調査(同4.05%)より0.63ポイント低下したそうです。期間の定めのないいわゆる正社員の男性の場合には、育休取得率は3.16%でした。なお、この数字は有期契約、正社員ともに平成26年10月1日から平成27年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、平成28年10月1日までに育休を開始した者(育休の申出をしている者を含む。)の割合です。

このように、くるみん認定を取得するために必要な「7%以上」には程遠いような取得率が現状です。これをいかに改善していくのが今後の課題とも言えますね。

くるみん認定:育休以外の男性の育児も評価

男性の育休取得率に代えて、育児目的休暇取得などでも認定基準を満たすことができるように改正されました。具体的には、「企業が講ずる育児を目的とした休暇制度の取得率15%以上かつ育児休業取得者1人以上」の場合にもくるみん認定の基準を満たすことになりました。

平成29年10月1日から育児介護休業法が改正されたことは記憶に新しいと思いますが、この時の改正で事業主には努力義務が課されました。努力義務になったのは、子どもが生まれる予定の労働者に育児休業などの制度を知らせることと、事業主は従業員やその配偶者が妊娠・出産したことなどを知った場合には、個別に育休などの制度などを知らせることが規定されました。

それから、「育児目的休暇」の導入を促進や、未就学児を育てながら働く人が子育てしやすいように育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けることも事業主に努力義務として課されました。育児目的休暇の例としては、配偶者出産休暇やファミリーフレンドリー休暇、子の行事参加のための休暇などがあります。

現時点では、男性が実際に育休を取得することは非常に難しい状況です。男性がなかなか育休を取得できていないことは統計上も明らかですが、さまざまな理由がありますが、多いのは育休を取りたくても取れないという状況です。これは、周り(人や仕事の状況など)が育休の取得を認めないということだけではなく、自分自身が育休を取る勇気を出せるかということも含みます。育休を取ることで家庭の収入が減ることを心配する声もありますね。一般的に夫婦が共働きだったとしても、育休取得によって収入が減ると家計を直撃する恐れもあります。長期間の育休を取得するのが難しい中でも、それに代わるものとして企業が独自に設定している育児目的休暇取得であれば取得できる人も増えるかもしれませんね。

プラチナくるみん認定:公表事項が追加

プラチナくるみんの公表事項(義務)に下記の2つの項目が追加されました。

  1. フルタイムの労働者などの法定時間外・法定休日労働時間の各月の平均時間
  2. 月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者の数

この2つの公表事項によって、どのくらいの時間外労働があるのかを外部の者が知ることができます。それと同時に、過重労働によるブラック企業化しないことや、社内で時間外労働に対する認識を改めることもできそうですね。

くるみん認定・プラチナくるみん認定:労働時間の基準を追加

くるみん認定、プラチナくるみん認定ともに法定時間外労働時間などの実績に関する基準が改正されました。
1. フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること
2. 月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がゼロであること

以上の2つの基準を満たしておかねばなりません。

これらによって、時間外労働が抑制されれば家庭と仕事の両立をしやすくなるものと思われます。また、時間外労働が長時間に及ぶと労働者は心身の健康を害して脳や心臓が危険な状況になってしまったり、うつ病を発症してしまうことにもつながりかねませんから先ほどの公表事項と合わせても非常に重要な項目です。

くるみん認定・プラチナくるみん認定:「関係法令に違反する重⼤な事実」の範囲を拡⼤

これまでの「関係法令に違反する重⼤な事実がないこと」という認定要件に追加して、「労働基準関係法令の同一条項に複数回違反」等が追加されました。このことによって、対象になる企業の法令違反がより厳格に確認されるようになりました。

法令違反がない企業で安心して就業したいと思うのは誰もが思っていることです。これから就職しようとする人にとっても、より安心して働ける企業を選ぶ指標になりますね。

くるみん税制の改正ポイント

平成27年度の税制改正でくるみん税制(※)も改正・延長が行われました。

※くるみん税制とは
「くるみん認定」、「プラチナくるみん認定」を取得した事業主が受けられる税制の優遇です。

くるみん認定を受けた場合の税制の優遇

事業主がくるみん認定を受けた場合で、青色申告書を提出していて、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの期間に初めてくるみん認定を受けた企業は、認定を受けた事業年度(1年間)は企業・資産の区分に応じて以下の割増償却率の割増償却の適用が受けられます。

くるみん認定企業の優遇
厚生労働省 平成27年度税制改正で、くるみん税制が改正・延長されましたより

なお、法人事業主は、平成23年4月1日から平成30年3月31日までの期間、個人事業主は、平成24年1月1日から平成30年3月31日までの期間における最初の認定であることが必要です。また、平成27年度税制改正によって、くるみん税制は改正されています。そのため、平成27年3月31日までにくるみん認定を受けた事業主は、改正前の税制優遇措置(建物等の割増償却)の対象となります。

プラチナくるみん認定を受けた場合の税制の優遇

事業主がプラチナくるみん認定を受けた場合で、青色申告書を提出していて、平成27年4月1日から平成30年3月31日までの期間に初めてプラチナくるみん認定を受けた企業は、認定を受けた事業年度から3年間、資産の種類に応じて以下の割増償却率の割増償却の適用が受けられます。

プラチナくるみん認定企業の優遇
厚生労働省 平成27年度税制改正で、くるみん税制が改正・延長されましたより

なお、対象資産と割増償却制度については厚生労働省の平成27年度税制改正で、くるみん税制が改正・延長されましたに詳細がありますので、最新のデータをご覧ください。くるみん税制の対象となる「次世代育成支援対策資産」は、建設又は製作等の後、事業の用に供されたことのない資産に限られますが、それぞれ告示で定められた要件を満たす必要がありますのでご注意ください。

くるみん税制を受けるにはどうすれば良いのか?

くるみん税制を受けるためには、次世代育成支援対策資産について、一般事業主行動計画(以下「行動計画」といいます。)にその導入を目標として掲げた上で、その行動計画に従って実際に導入して、行動計画について「くるみん認定」又は「プラチナくるみん認定」を受けなければなりません。手続きの概要は以下の通りです。

  1. くるみん税制の適用を受けたい「次世代育成支援対策資産」を決めてください。
  2. 次世代法に基づく行動計画にくるみん税制の適用を受けたい「次世代育成支援対策資産」の導入について目標を記載してください。
  3. 行動計画に沿って対策を実施し、「次世代育成支援対策資産」を計画期間内に実際に導入してください。
  4. 計画期間終了後、都道府県労働局雇用均等室にくるみん認定あるいはプラチナくるみん認定の申請と同時に必要書類を提出します。(必要書類:「次世代育成支援対策資産」の一覧表、点検表、領収書の写しや写真など。事業所内保育施設の場合には申告書と報告票も必要です。)
  5. 導入した「次世代育成支援対策資産」が告示の条件を満たしていることが認められた場合、くるみん認定あるいはプラチナくるみん認定の認定時に認定通知書と押印済みの一覧表が交付されます。
  6. 税務署にくるみん税制適用を申請してください。この時に、くるみん認定通知書あるいはプラチナ認定通知書と一覧表が必要になります。

上記の手続きに必要な申請書類などは厚生労働省の平成27年度税制改正で、くるみん税制が改正・延長されましたのページ下部からダウンロードできますので、そちらをご利用ください。→書類はコチラです。

さいごに

くるみん認定・プラチナくるみん認定の基準が変わりましたが、労働者にとってより育児に参加しやすい内容になっていることに気付きます。税制の優遇もありますので、基準をもう一度確認し、労使双方にとってより良い対策を立てていただけたらと思います。

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カテゴリ
妊娠・出産・育児
福利厚生