ストレスチェック制度義務化開始から1年!! 初年度の動向と見えてきた課題

ストレスチェックの動向と課題2015年12月より従業員数50人以上の事業場に実施が義務付けられた「ストレスチェック制度」。企業のメンタルヘルス対策に注目が集まる中、今日で義務化スタートからちょうど1年が経過しました。1年目のストレスチェック実施期限は2016年11月末でしたが、皆さまの企業では実施されましたでしょうか? 今回はストレスチェック制度の義務化が一巡して見えてきた、ストレスチェックの動向と課題について考察していきます。

義務化初年度のストレスチェック動向

日経新聞の記事によると、今年7月にアドバンテッジリスクマネジメント社が50人以上の企業600社を対象に実施したアンケートで、ストレスチェックの実施率は平均33.8%でした。1,000人以上の企業で49.5%が実施していたのに対し、200人未満の企業では20.6%の実施にとどまっていたという結果で、規模が小さくなるほどにその実施率は下がり、500~999人規模の企業で35.4%、200~499人規模の企業だと27.2%、200人未満では約20%と従業員規模が小さくなるにつれて実施率がどんどん下がっているという実態が明らかとなりました。アンケートは7月時点の調査ですから、そこから4ヶ月の期間を経て実施率はもう少し上昇していると思われますが、健康診断レベルに実施率が高まるまでには、制度の浸透にまだまだ時間がかかりそうです。

その背景として、200人未満の企業の中にはストレスチェックを実施するための前提となる、産業医を選任したり、衛生委員会を立ち上げたりするところから検討をはじめなければならない企業も多く、準備に時間がかかることが挙げられます。また、ストレスチェック実施のための予算も事前に用意しているわけではないため、初年度はとにかく安くストレスチェックを実施しようと考える企業も多かったようです。しかし、無料のツールを使ってストレスチェックを実施するよう産業医に相談したところ、実施者および高ストレス者の面接指導を断られてしまうケースもあったようです。産業医自体もストレスチェック制度は今年が初めてであり、実施者として手間がかかる企業のサポートを十分にする余裕がないという産業医側の事情もあったのではないかと思われます。

エン・ジャパンが実施したアンケートによると、実施予定がない企業の理由として、「実施しようという意志が会社に存在しない」、「方法論について現在検討中のため」、「産業医を含め面談する医師の問題・諸規則の制定等の社内体制」、「本社で対応を検討しているとは思うが、現場には通達が来ていない」、「優先順位付けで後回しになっている」といった内容が挙げられています。実際にストレスチェックを実施した企業からも、ストレスチェックを行う体制、相談窓口などの構築が困難だったと感じていた企業が多く、「手順が面倒で、現場が理解できないし、人員が割けない」、「原則、受診結果を会社が見れないので、体制を構築するのに非常に手間がかかる」というストレスチェック制度ならではの課題も顕在化しました。従業員規模50名前後の企業の場合、人事部長1名だけで人事・労務関係の業務を行っているケースも少なくなく、そういった企業ではストレスチェック結果を閲覧することが可能な「実施事務従事者」を誰にするかで暗礁に乗り上げます。取り扱う情報がセンシティブなものだけに、従業員が安心して受検できる体制を構築するのが小規模事業所では想像以上に難しいということが浮き彫りになりました。

ストレスチェック 義務化

 

ストレスチェック実施後に見えてきた企業の課題

ストレスチェック制度の義務化から1年、実際に受検した企業から聞こえてくるのは、「ストレスチェックをとりあえず実施してみたものの、特に何も変わらなかった」という声です。特に、実際に受検した社員から「ストレスチェックを行ったけれど、何も変わらない。あれは何のためのチェックだったのか」という不満が聞こえてきます。

そもそも、この制度の背景にはメンタルヘルス問題の深刻さ、未然防止の重要さがあることは言うまでもありません。メンタル不調は早期に対処しないと回復に時間がかかることが多く、休職や退職に至るケースも少なくありません。また、最悪の場合には死につながることもあるため、家族が大変つらく悲しい思いをするだけではなく、企業にとっても貴重な人材の損失となります。SNSが普及した現代では、そういったマイナスの情報が瞬く間に拡散していくため、既存従業員の離職や採用難をはじめとする企業経営に与えるインパクトはとても大きいです。また、ストレスチェック受検後に医師の面接指導を受けられる社員は高ストレス者の中でもほんの一握りに過ぎず、大多数の社員はストレスチェックを受検して結果を見るだけです。本来は、高ストレス者全員に面談を実施するのが望ましいのかもしれませんが、そもそも本人が面談を希望しないケースがほとんどですし、仮に面談を希望した場合でも全員に面接を実施するとなれば企業側の産業医費用はとんでもない額に跳ね上がることでしょう。企画した側の人事担当者としては、ストレスチェック結果を従業員がセルフケアに活用してこそ、本来の制度導入の趣旨に合っていると、せっかくのストレスチェックがやりっ放しに終わっていることを課題に感じています。

また、多くの人事担当者から聞こえるのは「ストレスチェック結果で集団分析を行ってみたものの、その結果をどう活用したらよいかわからない」という悲痛な叫びです。「会社全体のストレス度を可視化でき、部署ごとのストレス概要が把握できた」という声がある一方、「ストレスチェック結果をセルフケアや管理職のラインケアに活用して、組織改善につなげていきたいがどうしたらよいかわからない」という声が聞かれます。結果の比較対象情報もないため、同業種や職種別に比べて自社の状況が特別なのか異常なのかといったことがわからないという意見も多く、「他社ではどうなのか?」という比較情報を求める声も多く聞かれます。

1年目のストレスチェックは、「とにかくまず1度実施してみる」ことに重きが置かれていたように感じますが、次年度はさらに踏み込んで、ストレスチェックの結果をどう企業経営に活かしていくかという点が課題として浮き彫りになりました。

さいごに

これまでも、大企業を中心に従業員の心の相談窓口を設置するなど、企業は従業員のメンタルヘルス対策に取り組んできました。しかしながら、これまでの仕組みは本人が能動的にアクションを起こさなければセーフティーネットが発動されないことが問題でしたし、従業員も自らの不利益になることを恐れて会社の制度を十分に活用できていなかったように思います。ストレスチェック開始から1年が経過し、2年目は実施後の「対策」が注目される一年になることでしょう。Carelyのように、ストレスチェックをやりっぱなしで終わることなく、年中通じて従業員のフォローをチャットを通じて行うサービスも登場しています。2年目のストレスチェックは、ストレスチェックの単純な実施にとどまることなく、実施後の対策に注目が集まる一年になりそうです。

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参考:ストレスチェック関連の要チェック記事

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