社員がうつ病で休職。休職中の過ごし方とは?

職域においてメンタルヘルス対応に費やす時間は、確実に増加しています。休職制度を利用する人も増加傾向であるため、人事や産業衛生スタッフは、人材を失わないために復職を見越した関わり方が大切です。復職には、休職中の過ごし方が大きく関わってきます。うつ病で休職を発令した場合、休職者にどのような生活を送ってもらうべきか、この機会に考えてみましょう。

目次

休職中の過ごし方で事前に伝えること

休職に入る前に必要なアプローチについて解説します。
重要なポイントは、以下3点です。

  1. 休職の目的を共有する
  2. 休職の流れを伝える
  3. 休職中の連絡方法を共有する

1. 休職の目的を共有する

休職の目的を本人に伝えることはとても大切です。
なぜ休職になるかを理解していないと、十分に心身を休める生活を送らなかったり、休職になることへの不満が発生する原因となります。休職中の過ごし方を明確にするために、以下の3点について共有しましょう。

  1. 「現在の体調では業務の遂行が難しいと、専門家の意見も踏まえて会社が判断している」
  2. 「休養して体調の回復が必要なこと」
  3. 「休職は解雇ではなく、復職を目指すために行うこと」

これで休職の必要性を明確に伝えます。

2. 休職の流れを伝える

次に、休職開始~休職中~職場復帰までのおおまかな流れを伝えましょう。
気持ちが一番沈んでおり、余裕がない休職開始前に事細かに説明する必要はありません。しかし、本人にとって休職は私たちが思っている以上に、不安になる事柄です。そのため、通常どのような経過で復職に向かうのかを説明するだけでも、安心感につながるのです。休職中に本人が実施すべきことに関しては、休職直後に行う事ことのみ話し、回復してからのことはざっくりとで大丈夫です。始めから内容のボリュームが多いと、混乱の原因になるため、体調が回復してきたらその都度詳しく話すようにしましょう。説明の際は、パンフレットを用いると、視覚でも理解しやすく、回復してから自身で振り返ることもできるためおすすめです。

3. 休職中の連絡方法を共有する

休職中にも人事や産業衛生スタッフが連絡することはとても重要です。休職直後は、仕事を思い出させることで焦燥感などが起こるため、1カ月くらいは連絡を控えることが望ましいかもしれません。しかし、傷病手当金といった休職中の経済的なサポートの手続きで連絡をする必要があるため、事前にパンフレットを作成したり、メールや電話で月1回連絡することを共有しておきましょう。

また海外の研究によれば、パワハラといった状況ではない限り、休職者の上長が2週間に1回連絡することで休職期間が短くなったという報告もあります。「誰が」、「どのタイミングで」、「何で」連絡するのか決めておきましょう。

特別なポイント

上記3つのポイント以外で押さえておきたいところとして、休職中のSNSの利用方法があります。FacebookやTwitter、Instagramは多くの人にとって、欠かせないツールになっています。友達との情報共有や、自分が感じたことや思い出を発信する上で、とても便利です。最近では「SNS疲れ」という言葉が流行るほど、SNSを利用することが心の負担となる人も増えています。「SNSを見ることで自分と他人を比べてしまう」、「SNS上で自分がどう見られているか気になる」という人も多いでしょう。

SNSを使用することは個人の自由であり、休職中にSNSに投稿することも決していけないことではありません。ただ気をつけてもらいたいのは、投稿する内容です。中には休職中に気分転換で旅行に行く人や、友人と遊ぶ人もいるでしょう。その行為自体は、もちろん制限できることではありません。しかしそれをSNSにアップしてしまい、会社の同僚や上司の耳に入ることで、反感を買ってしまうケースが意外と多くみられます。休職中に反感を買うと、復職の際に支障が生じる可能性があるため、SNSの使用方法に関しては、あらかじめ注意や配慮を促しましょう。

休職中の過ごし方は2段階で考えよう

休職の期間は、「からだをしっかりと休める期間」と「復職に向けて準備をする期間」の2段階で考える必要があります。

1. まずはしっかり休むこと

休職に入ったあと、まず重要なのはしっかりと休息を取ることです。うつ病や適応障害による落ち込みは、心の病であり、身体の病気と同じように、休めてあげることが重要です。特に重要なのは睡眠です。私たち人間にとって睡眠は、自律神経、免疫機能などあらゆる機能が正常に動くために、欠かすことができません。心の機能の回復にも同じことが言えます。休職直後は仕事のことは考えずに、とりあえず睡眠をたくさんとってもらい、心の回復につなげましょう。

睡眠をたくさんとり、徐々に心が回復してくると、何かをしたくなってきます。まずは好きなことから行動に移してもらいましょう。しかし実際にやってみると、まだ心や体力が追いつかず、すぐに疲れてしまうと思います。この段階では、その繰り返しでいいのです。
うつ病の症状の一つに、「興味または喜びの喪失」があります。趣味を楽しみたいと考えられることは、興味・喜びに関心がでたと判断できるため、意欲性や活動性が回復してきたと判断できるのです。このことは復職判断をする上でも、重要な指標となります。

休息を取りながら、少しずつ外の世界に目を向けることで行動範囲を広げ、それまでの日常生活に戻れることが目標であると伝えていきましょう。

しっかり睡眠が取れ、しっかり食事ができ、自分の関心があることに取り組むことができるようになったら、日常生活が送れていると判断できます。
日常生活が送れるようになったら、復職に向けて次のステップです。

まずはしっかり休むこと

2. 生活リズムを整えよう

1.でしっかりとカラダとココロを休めたら、次は復職に向けた生活リズムを整える時期となります。
休職に入ると、会社に勤務をしている時と違い、全ての時間を自由に使うことができます。始めのうちは、寝たいときに寝て、食べたいときに食べ、動きたいときに動くという無理のない生活でいいのですが、カラダとココロが回復してきたあとは、これではいけません。自分の好きなように自由に日常生活が送れるだけでは、仕事を行うことはできません。復職への第一歩として、生活リズムを一定に整える必要があります。

まずは早寝、早起きを心がけ、規則正しい睡眠パターンを作ります。テレビを見ながらついつい夜更かし……など、昼夜逆転した生活はもってのほかです。起床時間を休職前と同じ時間にしていきます。逆に、寝る時間は眠くなったらベッドに入るようにしましょう。しっかり睡眠を取り、一日の疲れを次の日に持ち越さないことは、休職者にとって意外と難しいことですが、復職では欠かすことができない条件なのです。

睡眠や起床の習慣化ができるようになったら、就業時間に合わせて最寄りの駅まで来る通勤訓練や、実際の業務時間を図書館など外で過ごすことにチャレンジしてもらいましょう。これは実際に業務をしている時と同じような生活をすることで、疲労度や回復具合、通勤の可否を判断するのに有効です。休職者自身で行うことが難しい場合は、リワーク施設を利用することも検討しましょう。

生活リズムが確立して、通勤訓練も順調にいけば、業務遂行力を上げていくといった自社の復職基準に従ってプロセスを踏んでいきます。ここまでたどり着くことを目標に、休職者の支援していきましょう。

さいごに

休職の経過は、本人の休職に対する捉え方や、休職中の関わり方で大きく変わってきます。
休職中の過ごし方をより良いものにするために、注意点を事前にしっかり伝えるようにしましょう。休職中は、まずしっかりと睡眠をとってもらい心の回復を待つことが重要です。心が回復でき、日常生活が送れるようになったら、本格的に復職に向けた介入を始め、復職に向けてバックアップしましょう。

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