大人の「はしか」感染は危険!? 社内の集団感染を防ぐための予備知識

関西国際空港やイベント会場などをきっかけに「はしか」(麻疹)の感染拡大が話題になっています。2016年9月1日時点で少なくとも感染者は57人と、昨年1年間の感染者数を上回ったとのこと。企業内で、はしかに感染する社員が発生すると、その影響は計り知れません。社内で集団感染を防ぐためにも、「はしか」の特徴と予防策などについて押さえておきましょう。

目次

はしかの基礎知識

1. 感染経路

「はしか」は人から人へ感染します。主な感染経路として、空気(飛沫核)感染、飛沫や接触感染などがあります。国立感染症研究所によると、感染力は非常に強く、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染するとされているとのこと。ちなみに、感染が流行するイメージのあるインフルエンザでも1~2人と、圧倒的な感染力の差があります。

2. 症状

ウイルスに感染して約10日の潜伏期後に、発熱、鼻水、せきなど風邪に似た症状があらわれます。目やにや目の充血の症状がみられることもあります。次に口の中に、特有の白いブツブツとした斑点がみられます。その後数日で熱が下がりますが、その後約半日後に再び発熱するとともに体中に赤く少し盛り上がった発疹があらわれます。合併症がなければ10日前後で主症状は回復しますが、まれに肺炎や中耳炎などを合併することもあり、それが原因で亡くなる人もいます。

3. 予防法

「はしか」は残念ながらマスク、手洗いやうがいでは予防できません。唯一の予防方法は、ワクチン接種によって「はしか」に対する免疫をあらかじめ獲得しておくことです(ただし、妊婦のワクチン接種は避けてください)。そして、人混みの多い場所を避け、予防接種前にはしかに感染している、あるいは感染の可能性がある人に接触してしまった際は、保健所あるいは病院に電話で連絡をして事前に指示を仰ぎ、相談しに行きましょう。

26~39歳は特に感染しやすい?

「はしか」には治療薬がない代わりに有効な予防策としてワクチンの接種があります。「はしか」のワクチンは1978年から定期接種が開始されましたが、平成18年4月以前は1回の接種のみでした。この1回の接種のころに子ども世代であった今の20~30代には感染の可能性が高いと言われています。特に、今26~39歳の人(平成2年4月以前に生まれた人)は、追加でワクチンを接種する制度導入に間に合わなかった世代なので、子どものころにワクチンを打っていたとしても抗体の抑制効果が低くなっていることが考えられるため、「はしか」にもっともかかりやすいのです。一方、40以上の世代はワクチンを接種する機会はありませんでしたが、多くの人が「はしか」に自然感染しており、比較的リスクは低いと言われています。

過去に「はしか」にかかったかわからない、あるいは2回の予防接種を受けていない人は、事前に予約をすれば医療機関でMRワクチンの接種もできます。定期接種ではないので保険はききません。費用は医療機関によって異なるものの、8,000~1万円が相場とされています。

26~39歳は特に感染しやすい?

企業の社会的責任も問われる

とはいえ、ワクチン接種にかかる費用は前述のとおり少々負担です。たとえ予防接種を希望していたとしても、自己負担がネックとなって先延ばしになってしまうケースも多いのではないでしょうか。このような流れを食い止めるためにも、予防接種を検討している社員に対して企業側が費用の一部を負担するなど、ワクチンの接種につなげられるような制度を設けてみても良いかもしれません。企業主導でワクチンの接種を推進し、社内から感染者を出さないよう努めることで社員の健康も守れますし、結果的に社会への貢献にもなるはずです。

近年「はしか」は東南アジア、さらにはヨーロッパなどでも流行しています。流行国とされる地域へ海外出張または赴任する社員には、企業側から事前にワクチンの接種が強く要請されます。もし、無防備な状態で現地に飛び、ウイルス感染につながるようなことがあれば、社員自身にとっても会社にとっても大きな負担・損失です。社員が海外でより安全な生活を送れるよう、安全配慮義務(健康配慮義務)の観点からもワクチン接種の推進は重要なのです。

さいごに

企業にとって、持続的な経済活動はもっとも重要なことです。また、従業者とその家族の健康の保持・増進に対する投資は、企業の社会的責任であるともいえます。はしかの流行に関して、ワクチン接種が1回のみであった世代、または出張が多い社員には各自、抗体価の検査やワクチン接種を検討するよう呼びかけるなど、「はしか」感染から社員を守るための予防・啓発活動が大切になってくるのではないでしょうか。

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