ストレスチェックは組織集団分析こそが最大のミッション!

ストレスチェックは組織分析こそが最大のミッション!

【記事更新日:2017年5月1日】

ストレスチェックの組織集団分析は「努力義務だから……」ではもったいない!

ストレスチェックでの集団分析では「仕事のストレス判定図」などを利用して、職場環境などのストレス要因を評価し、事後措置を実施することになっています。

このストレスチェック、当初はメンタルヘルス対策の一環で「うつ病のスクリーニング検査」的な要素が強いものでした。しかし、スクリーニング検査の結果を人事に知られることを拒否する人はアンケートで約6割にのぼります。

これにより、労働者への配慮とともに、メンタルチェックという名称から、ストレスチェックという名前に変わり、個人のうつ病予防(二次予防)から高ストレスの集団へのアプローチ(一次予防)へとシフト転換したのです。このシフトは産業衛生的な考え方で言えば、個人の健康管理を主眼としたものではなく、衛生管理を主眼としたものになった、ということです。

ストレスチェックの考え方

ストレスチェックの集団的分析は、現在は努力義務と位置付けられていますが、これらの経緯を考えると、この集団的分析こそが最も重要なメインの位置にあると言えるでしょう。

国際労働機関(ILO)の報告に、世界各国の職場ストレス対策の成功事例を集め分析したものがあります。それによると、各国の半数以上の事例が作業改善、組織の再構築といった職場環境の改善を通じての対策だったそうです。さらに、個人向けのアプローチの効果は一時的・限定的であるのに比べ、職場環境などの改善を通じた改善方法の方が効果的であったと強調しています。

つまり、ストレスチェック後の集団的分析、組織分析を、いかに活用していけるのか? が、人事労務担当者としての最大のミッション、最重要課題と言えるでしょう。

ストレスチェックの組織集団分析は職場環境改善のためのヒントが詰まっている

ストレス対策というと、その事業場での人間関係上の特性や、個人のストレス要因への対処法ばかり盛んに言われ、注目されています。ですが、それだけでは個人対策や事後の処置に終わるばかりになります。肝心の予防対策が一向に進まない状態のまま、結局、同じような問題を繰り返す、ということになるのです。

ストレスチェックの集団分析、組織分析には職場改善のためのヒントが詰まっています。人事労務担当者はその組織分析を材料に、職場環境の改善方法を立案し、実行して活用していく大切な役目があるわけです。

全国のいろいろな職場で広範囲にストレス対策が行われているわけですが、その内容を見てみますと、勤務の分担の在り方、勤務の時間制、作業の組織、人間工学対策、物理的環境、社会心理要因など幅広く、多岐にわたっています。一つの職場に一つの対策でいいのではなく、一つの職場でも多くの面での対策を講じていくのが必要になるのです。

ストレスチェック 義務化

 

組織集団分析の具体的な改善方法の立て方

ストレスチェックの組織分析で、ストレスに関係の高い勤務条件、職場環境が見えてきます。その職場を対象とし、まず、すぐに実施できる対策に力を入れていくことから始めます。

そして、実施は参加型で行います。その職場の労働者と管理者のグループ討議を行い、自分たちで課題を選び、自分たちで協力しあって実施していくことで、その職場にあった優先度の高い改善をすぐに進めることができます。

重要なポイントを中心に、できることから改善を始める。まずはそこから始めていきましょう。

メンタルヘルスやストレス対策で行われた取り組み改善事例を見ながら、自社の事業場での職場環境などの改善への目の付け所や、改善の考え方など、活用方法の参考にしていきましょう。

ストレスチェック:組織集団分析の具体的活用方法

ストレスチェックの結果である組織集団分析を活用して、集団の事後措置を行っていくわけですが、基本的な進め方は、職場環境改善と産業スタッフ(産業医、保健師)による健康教育、個別相談を行うことの二本立てです。

取り掛かるための準備

まず、職場の管理監督者に、ストレスチェックでの組織分析の結果などを伝え、現状の課題を認識してもらいます。職場の改善計画がストレス対策に必要であることを伝え、環境改善のための準備と合意を得ます。同時に職場のトップへも理解を求め、安全衛生方針として取り上げてもらったり、メンタルヘルスの社内方針として取り上げてもらいましょう。

職場の環境改善に効果的な題材、情報を集め、取り掛かるための準備を行います。

聞き取り調査 問題点を把握し、絞り込んでいく

今までストレス対策として取り組まれた事例、上司や労働者からもストレス対策として取り組んでいることなどがないか聞き取り調査をし、情報を収集していきます。

この中には、直接のストレス対策を目的としたものでなくても、快適な職場づくりに向けて役立った取り組み、たとえば受動喫煙防止、長時間の残業減の対策、職場内の模様替えなど、すでに職場で取り組むことができた改善事例に注目していきます。

ストレスの原因として何が考えられるか、上司及び労働者からの意見を聞き、職場内の情報として共有していきます。上司のみで意見を述べるのではなく、部下の意見をくみ取っていくことがポイントです。
業務時間内に職場環境の改善の話し合いがもたれるように準備をし、できれば全労働者の参加を呼び掛けていきます。

立案

ストレスチェックで得られた組織分析の結果を説明し、これについて意見交換をしていき、現場にあった対策をリストアップしていきます。

組織分析で見つかった問題点と対応表を参考にして、ストレスが高いとされる項目を重点的に確認していきます。管理監督者や産業保健スタッフのコメントや助言を得ながら、具体的な実施案に向け絞り込んでいきます。

討議の内容、結果は文章で残しておきます。今後の対策の実施計画への参考資料として、またはリスクアセスメントの実施結果として残しておきましょう。

例)iCARE社が提供している部門ごとの組織集団分析結果

組織集団分析の見方
組織集団分析の見方

組織集団分析のストレス反応
組織集団分析のストレス反応

 

 

 

 

 

 

 

組織集団分析のストレス要因
組織集団分析のストレス要因

組織集団分析の周囲のサポート
組織集団分析の周囲のサポート

 

 

 

 

 

 

 

このように組織集団分析の中で、「仕事負担系」というようなグルーピングをしてわかりやすくフィードバックすることも大切です。さらに例えばCS部門においてストレス反応の中でも重要な抑うつや不安、疲労感が全社平均よりも下がっていることや、その原因をストレス要因から確認していきます。

もし貴社ストレスチェックの組織集団分析でわからないことあれば、弊社セミナーや問い合わせをして下さい。

 

具体的な実施に向けて

組織集団分析実施に必要な、調整や交渉を行う改善計画の実施責任者を決めます。人事、労務など他部署との調整や予算措置が必要な事例が出てくるかもしれませんので、あらかじめ決めておくのが大切です。責任者は現場の管理監督者や、人事労務担当者が適当でしょう。

職場改善のアイデアを職場の管理監督者や安全委員担当者などが部署ごとに取りまとめて、改善計画の具体的な実施の手順を決めていきます。

労働者に対し、保健師などの健康スタッフが健康教育、個別面談を行うと同時に、管理者の意見交換会や改善策の検討を行います。労働者のみのアクションだけ行うのではなく、同時に管理者の意識が変わらなければ職場改善は成功しません。

改善計画の実施のフォローアップ計画を立てて、関係者が全員でフォローに取り組んでいきます。計画はその職場で誰でも目に触れることができる様に掲示板など職場内に表示しておきましょう。

評価

四半期や一年ごとに実施状況を評価します。ストレスチェックの組織分析を再度行い、取り組み前の値と比較し、職場のストレスが減っているかどうか確認します。

同時に労働者からのアンケートも実施し、事後措置として効果があったか、健康教育、個別面接などの効果はあったか、などの評価を行います。

総合的に考察して、次年度の計画へとつなげていきます。

さいごに 注意点

職場改善のための取り組みの中で、忘れがちなのは、ストレスチェックの組織分析で、健康リスクが高いと評価された職場の管理者への配慮です。
管理者が、自分の職場管理能力が低い事を産業スタッフや人事部門から責められている、と受け止めがちになります。
そうなると、産業保健スタッフへの相談が気軽にできる雰囲気にはならず、積極的に職場改善に取り組む姿勢にはなりません。

ストレス判定図を用いて職場環境改善を行う際は、総合健康リスクの値は、管理者の職場管理能力の
評価と受けとらないようにあらかじめ説明をしておく必要があります。

管理者に配慮しつつ、管理者向けのメンタルヘルス研修を実施したり、従業員向けのセルフケア研修を実施したり、相談窓口を設置するなど様々な対策を行いましょう。ストレスチェック、組織集団分析のやりっ放しは宝の持ち腐れです。

※ストレスチェックの組織集団分析や、管理職研修、ライン研修などストレスチェック後の対策をお考えの人事の方はこちらまでお問い合わせください。

ストレスチェック 業者

 

 

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