【人事必見!】時間外労働を含めるみなし残業の弱点とは?

最近では固定給に残業代を含めている企業が増えていますが、みなさまの企業でもありますよね?

いわゆるみなし残業制度です。

導入する目的としては、「人件費を節約する」ためがダントツに多いと思います。

しかしこの制度、実は正しく運用されていれば人件費が増える事があるんです。それよりも多くの場合、節約される事はないこと知っていましたか?

今回は、時間外労働を労働時間に含めるみなし残業の弱点について人事が知っておくとよいものをまとめました。とくに東京労働局のパンフレットは大変参考になります。

誤った運用方法で時間外労働手当を支払わない企業は違法!

時間外労働手当は法定労働時間を超えて労働した分に関して100分の25の割増賃金を加えるといった計算方法が通常のやり方です。これは労働基準法に規定されている計算方法であり、労働基準法は最低限の基準を示しています。そして労働基準法で定める基準に達しない労働条件に関しては、無効になり労働基準法の規定によるものとして扱われます。

みなし残業制により時間外手当として支給された金額が、通常の計算方法により算出した場合と比較して高い場合には問題ありませんが、安くなってしまう場合には違法という事になります。

例を挙げます。

所定労働時間が1日8時間、所定労働日数が月20日、基本給が18万円

でそのうち2万円がみなし残業代の場合、1時間あたりの賃金は1000円です(16万/8時間×20日)

一方で時間外手当は通常通り計算すれば1時間あたり1250円になり、2万円なら16時間分(20000円/1250円)になります。

実際に行った残業が16時間以下であれば、通常通り計算した場合より多く時間外手当を支給する事になるため問題ありません。10時間だった場合は通常通り計算方法で12500円ですが、2万円支給する事になります。

しかし16時間を超えた場合であっても、2万円しか時間外手当を支給しないのであれば違法になります。違法にならないためには、通常通りの計算した場合の金額を支払わなければなりません。

20時間残業した場合は25000円になるので、足りない分の5000円を支払うという事です。

1日8時間・日数20日

基本給18万円 − みなし2万円

時給1000円

時間外労働手当1.25倍

みなし2万円÷1250円

時給1250円

16時間分

⇒ 10時間の残業

6時間短い

時給1250円

⇒ 20時間の残業

4時間多い:1250×4分

時給1250円

5000円不足

こうした事を踏まえると、正しく運用されていれば人件費が節約されるといった事はあり得ません。計算する手間も考慮すると逆に人件費は膨らむ事になります。

ただし、優良企業であれば労働者に有利な制度として、みなし残業制を導入し正しく運用するといった事もあり得ます。

事業場外労働のみなし労働時間制、時間外労働は?

使用者は労働者の労働時間をきちんと記録し適切に管理しなければなりません。

そして残業が生じた場合には、その分の賃金を支払う義務を負います。

しかし一定の要件が揃う事で、実際に労働した時間ではなく、通常必要とされる時間労働したものとみなす事ができます。

そのうち労働基準法の規定されているものとして、事業場外労働のみなし労働時間制があります。

これは事業場外で労働する場合について適用できます。

労働時間の全てではなく一部事業場外で労働する場合でも可能です。

主に営業職の労働者に関して導入されている企業が多く見られます。

事業場外で労働する場合には、使用者の目が届かず適切に管理する事が難しいためこういった制度が設けられています。そして業務を行うのに通常必要となる時間が、所定外労働時間を超えると認められる場合には時間外労働をしたとみなし、時間外手当を支給しなければなりません。

業務を行うのに通常必要とされる時間が具体的にどのくらいであるか決定する際には、労使協定を締結するといったやり方が一般的です。

法律でそう規定されているわけではありませんが、労使間のトラブルを避けるといった意味合いでは労使協定を締結するのが望ましいと言えます。

この労使協定で決定した通常必要となる時間が法定労働時間(1日8時間)を超える場合には、当該労使協定を労働基準監督署長への届け出なければなりません。

以下の場合は事業場外労働のみなし労働時間制を適用する事はできません

・労働時間の管理をする者が同行している場合

・携帯電話や無線などにより随時使用者の指示を受ける事ができる場合

・訪問先や記者時刻などを具体的に指示されている場合

現在ではほぼ全ての労働者が携帯電話を持っていますが、使用者の指示を随時受ける状況ではないのであれば「事業場外労働のみなし労働時間制の適用が可能」です。

時間外労働が含まれる働き方…意外と不満が少ない!?

みなし残業のひとつである裁量労働制に関して平成17年に厚生労働省が調査をしたところ苦情は結構少ないようです。苦情が上がりにくいということも含めて考えてもそれほど多くない働き方といえるでしょう。

裁量労働制適用労働者の苦情の有無及びその内容

しかし、使用者には労働者の労働時間を適切に管理する義務があります。

時間外労働手当の不払いに関しては、労働基準法に罰則が規定されていますので、後々思わぬペナルティが科せられないようもう一度「時間外労働」に関係する制度を見なおしてはいかがでしょうか?

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