オフィスの受動喫煙で病気になったら、会社が訴えられるって本当?

受動喫煙で病気になった場合、安全配慮義務違反で訴えられるって本当?

他人が吸ったタバコの副流煙を強制的に受動喫煙させられる。これだけでもとても不快なことですが、もし病気になったら大問題です。隣の席に座る上司の喫煙や職場のタバコ臭い部屋、裁判に訴えられるようですよ。

受動喫煙とは

ほかの人が吸うタバコによって生じた副流煙(タバコの先から出ている煙)や呼出煙(タバコを吸う人が吐いた煙)を元にした有害物質を含んだ煙を吸うことです。間接喫煙という呼ばれ方もしていますね。ほかに、二次喫煙、セカンドハンドスモークと呼ばれることもあります。

労働安全衛生法(以下、安衛法)の改正によって、平成27年6月1日からは、職場での「受動喫煙防止対策」が事業主の努力義務になりました。厚生労働省では、これに関して企業への支援もしていますのでぜひ活用してみてください。

厚生労働省が実施する支援事業
厚生労働省 資料(PDF)より

安全配慮義務とは

平成20年3月から施行された労働契約法の第5条では、会社が労働者の安全に対して配慮することについて書かれています。

安全配慮義務

事業主が労働者に対して負う義務にはいくつかの種類がありますが、労働者の安全に配慮する義務もそのうちの一つです。事業主と労働者が労働契約をしていれば、ほかに特別な規定をしなくても、事業主は労働者を危険や有害なものから保護しなければいけないというものです。

一般的には、労働者は決められた場所で就業します。その際には、事業場の設備などを使って業務の遂行にあたるわけです。事業主は、事業場内の器具や設備、環境などに関して労働者が安全に過ごせるように必要な措置や配慮をする必要があります。

受動喫煙と安全配慮義務の関係

ざっくりと言ってしまうと、会社での受動喫煙というのは事業場の環境が関係する問題で、事業主がタバコを吸わない人への安全配慮義務を果たしていないということです。会社が受動喫煙対策をとらなかったことが問題となります。

事業主は、安全配慮義務に違反すると、労働基準法、安衛法(第22条、23条、71条の2)の罰則を受け、それに加えて訴えられて高額の損害賠償金を請求される可能性があることも頭に入れておきましょう。施設を管理する責任、事業主として受動喫煙を防止することについて、社内でご一考いただければと思います。

労働安全衛生法

受動喫煙による裁判

古くから受動喫煙に関係する裁判はありましたが、健康増進法が施行されたことで、受動喫煙の対策を講ずる努力義務が明文化されました。先ほどお話ししたように、この法律に違反しても罰則はありませんが、努力義務を怠った場合、裁判に訴えられる可能性があります。

厚生労働省が発表した受動喫煙をめぐる訴訟の動向によると、2004年7月に受動喫煙で初の賠償命令(5万円)が出て、2009年4月には受動喫煙に対して700万円での和解が成立したという判例もあります。1980年の嫌煙権訴訟はタバコを吸わない人の権利を主張する問題提起型の訴訟とは、内容がかわってきていることがわかります。

損害賠償額の多少も気になるところですが、対外的な影響を考えると、事業場内では受動喫煙の防止も含めて安全配慮義務を果たすことが賢明といえます。この訴訟後、公共施設での禁煙や分煙が進むようになってきました。

会社は労働者から受動喫煙に関する苦情を受けた時には、誠意をもって対応するようにしましょう。

勤務中のタバコによる体調の悪化や、健康診断による異常の発見など、決して問題を放置しないでください。受動喫煙の防止に関して努力義務が設定されたことの意味をよく考えて、事業場内の禁煙、分煙を徹底してください。

さいごに

受動喫煙の防止は、労働者を雇用するうえで必要です。事業主として労働者が健康的な環境で就業できるように、適切な環境を整える努力をしましょう。訴訟を恐れるということではなく、労働者の健康は会社の健康につながります。

メルマガ登録

カテゴリ
オフィス環境
健康管理