休職中の給料や税金はどうすれば良い? 人事の疑問に答えます

労働者が休職中、その人の給料や税金はどうすれば良いか? 疑問の声が上がることも多い休職中の給料や税金の問題ですが、どのように考えれば良いのでしょうか。他社の様子も見ながら一緒に考えてみましょう。

最初に結論を言ってしまいますが、休職中の給料については法的な決まりはありません。ですから、各企業が任意に決めることができます。就業規則や労働協約、給与(支払い)規定などで決めるのが一般的ではないでしょうか。

目次

休職中の給料についての基本的な考え方

ここでいう休職とは、会社がその労働者を就労させるには不適当な理由があると判断した場合に、その労働者の業務を停止させることを言います。会社に在籍したまま、就業を禁止もしくは免除する制度です。

混乱しやすい部分ですので、簡単に説明しておきますと、休業と休職は以下のように違います。この2つは法律上大きな違いがありますので、混乱のないようにしましょう。

「休業」:主として、会社側の事情で、労働者の就労が困難で労働義務が免除されている状況。原料費高騰などの会社側の事情の場合と、育児休業、産前産後の休業など労働者側の事情の場合があります。

「休職」:主として、労働者側の事情で、労働者が就労をしないように命じられている状況。会社からの休職命令か、労働者からの休職の申出を会社が承認することが必要です。

最近ではメンタル不調の労働者が増えてきたこともあってか、休職制度を取り入れている会社も増えてきたようです。

休職中の社員への給料の支払いについて法的な決まりはありません。そもそも労働者側の事情での休職ですから、その間の給料は支払わなくても差し支えありませんが、ある程度の金額を支給してくれる会社もあるようです。社内規定などで休職中にも一定の給料を支払うことなどが決められている場合は、もちろん社内規定に従う義務があります。

休職についての他社の様子

休職制度の有無や、休職中の給料の支払いが法的な規制を受けておらず、各社に任されていると言っても、やはり他社の動向は気になるところです。独立行政法人労働政策研究・研修機構が非常に興味深い発表をしていましたので、一緒に資料を確認してみましょう。

休職の制度や慣行の有無

独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表(PDF)によると、私傷病による休職(病気休職)に関して制度や慣行がある企業の割合は69.1%、他に自己都合による長期休職、刑事事件の起訴を理由とした起訴休職、自己啓発のための休職などがあるようです。また、病気休職に限らず休職に関して何らかの確立した制度のある企業の割合は69.3%でした。

休職の際の給料

独立行政法人労働政策研究・研修機構の同じ統計で発表されていますが、企業規模が大きくなるほど休職期間の上限が長く設定されているということも分かります。その一方で、休職の期限に上限がないとするのは、企業の規模が小さいほど高くなる傾向にあるそうです。

休職中の給料の支払いに関しては、少々古い資料ですが、厚生労働省の平成22年賃金事情等総合調査 17-7私傷病休職の最長(限度)期間、休職期間における賃金の取扱いが参考になります。

産業別特別休暇等制度の状況
厚生労働省 平成22年賃金事情等総合調査 17-7私傷病休職の最長(限度)期間、休職期間における賃金の取扱いより

私傷病による休職中でも一定期間は給料を支給するという企業がどのくらいあるのかが、この資料からわかります。36カ月以上に渡って100%の給料を支給する会社もあれば、一定期間減額して支給する会社もあり、会社によって休職期間の給料をどのように扱っているかが大きく異なっていることが表されていますね。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表でも、病気休職中の給料を100%支給するという企業が7.2%だったことを考えると、調査対象の違いを考慮してもやはり病気休職中の給料を100%支給している企業は一定数存在すると言えます。休職中に給料などを支給している場合に、給料を100%支給、減額して支給、傷病手当金+傷病手当付加金、傷病手当金のみというケースもあります。同機構のメンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査(PDF)によると、病気を理由とした休職中の給料(傷病手当金、傷病手当付加金など以外)は、支給しない企業が約75%、支給する企業は約18%とのことです。

(注意)健康保険法では傷病手当金や出産手当金を受給しながら休職している人が事業主から報酬を得ると、その内容や回数によっては調整の対象になってしまうこともあります。

 この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。

 この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。

健康保険法 第三条

休職中の給料の支払いについての規則作りを

休職期間中に給料を支給するかどうか、支給する場合の条件や金額など、細かい部分も就業規則に記載しておくことをお勧めします。お金という非常にデリケートな問題ですので、休職に入る前に無給なのか有給なのかということについて具体的に休職者にアナウンスしておく必要があります。トラブルを未然に防止するためにも、ぜひ休職時の給料の取扱いに関する規定を確認しておきましょう。基本的には、ノーワーク・ノーペイの原則に従って問題ありません。

どのような場合に休職を命じるのか、休職の対象となる労働者の範囲、休職の期間、休職中の給料の支給の有無など、会社としての規則を明確にした規則は、今後、休職者が増えた時にも必要になるものですので、この機会に既存の規則を見直したり、新規の規則を作成したりすると良いですね。

独立行政法人労働政策研究・研修機構のメンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査(PDF)によると、病気休職制度がある企業の8割近くの企業が就業規則などに病気休職制度についての規定があるそうです。

休職中で給料がなくても、支払いが必要なもの

休職中の給料の有無に関わらず気を付けなければならないのは、それまで毎月の給料から控除していたものを休職中はどうするかということです。

休職中というのは、会社には在籍している状態ですから、社会保険の資格を維持している状態です。ですから、休職中で給料を支給していなくても、会社はその人の分の社会保険料(厚生年金・健康保険・介護保険)は支払わなければなりませんし、休職者本人も税金を支払わなければなりません。

休職中で給料がなくても社会保険料はかかる

休職中であっても、社会保険料は原則通り労使が折半した額を納付しますので、給料が支払われない間の本人負担分は会社が一時的に建て替えるケースが多いようです。健康保険組合によって手続きに違いがある場合もありますが、全国健康保険協会の場合には保険料の納付は毎月納付書で納付する方法、一定期間分を一括して事前に納付する方法、毎月口座振替で納付する方法があります。

ほとんどの会社では労働者本人が負担する分を給料から控除して、会社負担分と一緒に納付しているのですが、納付の際には口座振替で全員分をまとめて納付(引き落とし)しています。たとえ休職者がいたとしても、それには関係なく支払いが必要な人数分のものが自動的に納付されていきます。

休職中は給料の支給がないので、給料が入り次第徐々に会社の立て替え分を返済するケースもあります。しかし、休職する期間によっては合計金額が大きくなり、会社の負担も本人の負担も大きくなってしまいます。もし、休職が長引きそうなのであれば、できれば毎月もしくは隔月で休職中の人から現金で支払ってもらう方が良いでしょう。

住民税も必要

次に、住民税についてですが、休職中で給料が支給されていなくても免除されません。給料から天引きされる特別徴収の場合、給料が支給されなければ会社が一時的に建て替えることになります。もしくは、休職に入る前に住民税の納付方法を普通徴収に変更して、休職者本人が納付するように切り替えることができます。

借り入れへの返済

それから、もし労働者が会社から金銭の借り入れをしている場合などで、毎月の給料から返済するルールにしていた場合などは、給料が支給されなくても一般的には返済が猶予されませんから、社会保険料、税金と併せて返済方法についての確認を休職前にしておいてください。

さいごに

休職中で給料が支給されない状況下でも、社会保険料や税金は免除されません。休職や休職中の給料に関するルールを休職に入る前に労使でしっかりと確認し、思い違いや説明漏れが生じないようにしておけると良いですね。

carely_bana_1

カテゴリ
休職・復職
福利厚生