5分で要点チェック! 施行から2年の高年齢者雇用安定法

高年齢者雇用安定法の施行が平成25年4月1日から始まりましたが、その後の運用はいかがですか? 日本では高齢化がかなり進行していますが、高年齢者雇用安定法の改正ポイントや注意したいことを考えてみましょう。

高年齢者雇用安定法とは

高年齢者雇用安定法(正確には高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)の一部が平成16年の国会で成立しましたが、その後、平成24年に改正されました。新しい内容の法律は平成25年4月1日から施行されています。

目的:急速な高齢化の進行に対応し、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境を整備すること。(「高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~|厚生労働省」より)

改正の中で注目したい特徴:

  1. 定年に達した人を引き続き雇用する「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止。

  2. 定年の年齢をいきなり65歳へ引き上げるものではない。

改正のポイント
「改正高年齢者雇用安定法パンフレットについて」兵庫労労働局(PDF)より

1 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

定年の年齢を定めていて、その年齢がこれまで65歳未満だった場合には、施行日(平成25年4月1日)からは、希望者全員を継続雇用制度の対象とすることになりました。

注意したいポイント 1

もし、定年の年齢を65歳未満に定めている会社が、高年齢者雇用確保措置として、継続雇用制度を導入する場合には就業規則などを確認してください。もし、継続雇用の対象者を限定するような文言が書かれていた場合には、その条項の部分を削除もしくは改正します。さらに、就業規則の変更の場合には届出も忘れずに行います。(労働基準法第89条の定めにより、所轄の労働基準監督署長への提出が義務付けられています。詳細は主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省へ)

注意したいポイント 2

平成25年3月31日までに、労使協定で継続雇用(65歳まで)を定めている時には、平成37年3月までに限り、老齢厚生年金の受給開始年齢になった人を対象に継続して雇用できます。

注意したいポイント 3

高年齢者雇用安定法改正の経過措置として、下記の人たちは継続雇用の対象者を限定する基準を労使協定で定めることが出来ます。

  • 平成28年3月31日までは61歳以上の人
  • 平成31年3月31日までは62歳以上の人
  • 平成34年3月31日までは63歳以上の人
  • 平成37年3月31日までは64歳以上の人

経過措置のイメージ
厚労省「高年齢者雇用促進への政府の取組 ~改正高年齢者雇用安定法の施行〜」(PDF)より

2 継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大

高年齢者が定年の日を迎え、希望した場合には自社だけに限らずグループ内の別会社での雇用もできるように、会社の範囲を広げました。高年齢者雇用安定法の改正により、親会社の高年齢者を子会社で雇用したり、子会社同士で高年齢者の雇用をしたりできるようになりました。

注意したいポイント 4

「継続雇用制度の対象となる高年齢者を定年後に特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約」をもともとの会社と新たな雇用先(グループ会社や子会社)の会社で結びます。

3 義務違反の企業に対する公表規定の導入

高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置を実施していない企業に行政指導があった場合、勧告が行われます。それでもまだ行政の指導に従わないと企業名が公表されることもあります。

4 高年齢者雇用確保措置の実施・運用に関する指針の策定

事業主がするべき高年齢者雇用確保措置(定年の引き上げ、継続雇用制度、定年制廃止)の実施や運用に関する方針について決めます。

高年齢者雇用安定法 注目すべきポイント

公的年金の支給開始年齢が徐々に引き上げられている中、高年齢者が生活の安定を維持することはもとより、可能であれば生活の質を維持する為にも働いて賃金を得ることはとても重要です。

これまでの定年の年齢のままでは公的年金の支給開始までの間にいくらかの差がありますが、この改正された高年齢者雇用安定法では高年齢者が働き続けること、少なくとも年金の支給開始年齢までの高齢者の資金繰りを多少なりともしやすい環境が整備されます。

60歳で定年の日を迎えても、希望すれば所定の年齢まで継続して働くことが出来ることで、給料も年金も受け取れないと言う事態を回避できる見込みです。

改正高齢者雇用安定法の概要
厚労省「高年齢者雇用促進への政府の取組 ~改正高年齢者雇用安定法の施行〜」(PDF)より

高年齢者雇用安定法 第九条に注目!

平成25年4月1日施行の高年齢者雇用安定法の改正(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律)に関係する第九条に注目してください。

(高年齢者雇用確保措置)
第九条
定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止

これを見ると、下記のようになっています。

  1. 定年の年齢の引き上げ
  2. 継続雇用制度
  3. 定年の定めの廃止

この中で最も導入しやすいもの、つまり障壁の少ないものは何か? と考えると2の継続雇用制度を導入している企業が多い理由が分かると思います。

さいごに

今後、高齢者は年金の支給開始年齢までは働いて給料を得られるようになる反面で、会社側としては雇い入れる人の選定が出来なくなるので、経済的な負担が増えます。その為には、会社としても事前に対策を練っておく必要があります。

参考サイト

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