業務上疾病の55%は腰痛…業務上疾病は2つのキーワードを覚える!

業務上疾病の55%は腰痛…業務上疾病は2つのキーワードを覚える!

業務上疾病は、医学的には職業性疾病と呼ばれています。特定の職業に就いていることに起因していたり、もしくはその職業に就いていると罹る確率が高くなる疾病です。過去に、その職業に就いていた場合も同様です。

【業務上疾病の概要】

業務上疾病は、業務中に発症することもありますが、かなりの年月がたってから発症することもあります。例え、その 業務から離れて時間が経っていたとしても、業務で有害因子にさらされていたことに起因し、業務とその疾病との間に相当因果関係があることが認められた場合 には、業務上疾病が認定されます。

例えば、有害因子である石綿について考えてみると、石綿を取り扱う作業から何年も経って健康に問題が生じた場合に、それが石綿にさらされる作業に従事していたことに起因する=業務上疾病と認められることもあります。

業務上疾病は必ずしも、業務の最中に発症するとは限りません。短期で発症するものや、何年も経ってから発症するものもあります。近年でも年間に7,000件~8,000件の業務上疾病の報告がされています。

全国の業務上疾病の経年変化表

出典:独立行政法人 労働者健康福祉機構 東京産業保健推進センター 労働衛生のハンドブック平成25年度版

業務上疾病は、目に見える症状だけではなく、心理的負荷によって発症した精神障害にも対応していますし、近年では、業務上のストレスや過重労働などを原因としたうつ病が増えてきていますが、このうつ病も業務上疾病と認定されることがあります。

厚生労働省発表の平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」によると、精神障害の労災請求件数が1,409件(前年度比152件増)で過去最多となっています。職場におけるメンタルヘルス対策は喫緊の課題だと言えます。

【業務上疾病と認められるケースは?】

ポイント1:業務遂行性があったかどうか

その労働者の疾病が、その業務に就いていたために生じたものかどうかということです。単に事業主の支配・管理下にいたかどうかということではなく、その環境に有害因子があったかどうかという点が重要です。

ポイント2:業務起因性があったかどうか

① 有害因子の存在

物理的因子、科学的因子、病原体や心身の大きな負荷のかかるものがなかったかどうか。

② 上記①有害因子にさらされる環境

有害因子にさらされる環境にいたかどうか。健康に害があるほど、その有害因子にさらされていたかどうかということです。その有害因子の量や強さ、期間によって健康への影響具合も変わってきます。

③ 医学的な妥当性

有害因子があり、健康被害があるほどそれにさらされていたことを前提に考えて、発症までの経過や症状などが医師の 目から見て、十分な関連性があるかどうかを判断します。有害因子の内容によって、発症する時期も様々です。例えば、石綿やじん肺など有害因子とされるもの は様々です。

この2つのポイントを押させておきたいところです。業務遂行性と業務起因性の2つです。

【近年の業務上疾病で多いもの】

独立行政法人 労働者健康福祉機構の労働衛生のハンドブックによると業務上疾病の55%が腰痛です。職種の違いを考慮しても、全体的に高いレベルにあります。

この職場での腰痛に対して体への負荷を減らせるように、会社として作業管理や環境の管理をすることが望ましいとされています。事務作業も長時間同じ姿勢で続ければ腰への負担が大きくなりますが、適度な休憩をとれば腰の負担も減り作業の効率も上がります。

職場の実態に即した対策をとることが、事業場疾病を減らす助けになります。

【業務上疾病と脳・心臓疾患】

脳・心臓疾患も業務上疾病として認定されることがあります。過労死と呼ばれるものの多くは、脳や心臓に何かの異常 があったりすることが多いのですが、このどちらも職場で発症するとは限りません。帰宅後にビールを飲んでいる最中に具合が悪くなるかもしれませんし、休日 の外出先で倒れるかもしれません。

しかし、どこで症状を発症したのかではなく、業務遂行性と業務起因性が認められればこららも業務上疾病として認められます。

【業務上疾病を起こすと…】

会社としては、業務上疾病は極力避けたい事案です。これまでにも、労働者もしくは元労働者と会社が法廷で争った ケースが多々ありました。このような場合、一般的には会社が安全配慮義務を尽くしていなければ債務不履行として損害賠償が請求されます。慰謝料や、実際の 損害額、将来の逸失利益の補償、場合によっては社員としての地位確認など争点は多岐に渡ります。

このような裁判は、会社の規模が大きければ大きいほど社会的なニュースとして取り扱われる可能性が高くなります。

【最後に】

業務上疾病は、時には命を落とすこともあるものです。衛生管理を十分に尽くすと同時に、業務内容の確認や、作業環境の点検、健康診断の徹底をするなど必要に応じた措置を早めにとることが大切です。

<参考WEBオススメ>

厚生労働省:精神障害の労災認定パンフレット

→ 心理的負荷の強さが具体例付きで分かりやすい

厚生労働省:脳・心臓疾患の労災認定パンフレット

→ 医学的な知識がなくても分かりやすい

厚生労働省:労働基準情報 業務上疾病の認定等

→ 脳・心臓疾患、石綿、腰痛など。

厚生労働省:「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」

→ 精神障害は過去最多

独立行政法人 労働者健康福祉機構 東京産業保健推進センター

→ 労働安全衛生マネジメントシステム

厚生労働省:業務上疾病発生状況等調査(平成24年)

→ カテゴリー別の状況

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