休職中に転職!? そんなことあるんですか?

休職中に転職!? そんなことあるんですか?

体の調子が悪くて休職していたはずの人が転職…と聞いたら、耳を疑う人は多いと思います。真剣に対応していた人事としてはショックな話ですが、そもそも休職中に転職をすることなんてあるのでしょうか。

休職する理由とは?

休職にはさまざまな理由がありますが、いずれの場合にも、休職は労働者側の事情を理由に就労をしないように企業が労働者に命じている状況です。そして、企業からの休職命令か、労働者からの休職の申出を企業が承認することが前提です。
労働者側に私的な理由があることが最大のポイントで、心身の健康を崩したあるいは維持することが困難な状態の病気休職(私傷病による休職)以外にも、私的な事故を起こしたことによる事故休職、起訴されたことによる休職、出向休職、留学などを目的とする自己都合休職、労働組合の役員に専念する際の専従休職などさまざまなケースがあります。最近ではメンタル不調による休職も増えてきているようです。

休職に入るタイミング

休職に入るタイミングとして、使用者が一方的に休職の命令を出すこともあれば、労使の話し合いが行われることもあります。
より一般的な休職ですと病気休職があげられますが、この場合には労働者は心身の健康を崩して業務に耐えられないような状態になった時、とりあえず休みをとるか退職するかということを考えます。そして、労働者は上司に相談し、最終的には人事ともお話をするケースが多いようです。人事としては、そのような心身の状態でいきなり退職するのではなく、まずは年次有給休暇を使用して休暇をとり、それでもなお快復の兆しが見られない場合などには病気休職を勧めるケースもかなり多くあります。

労働者が休職をする理由にはいくつかありますが、企業には労働契約法第5条の安全配慮義務(使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。)がありますから、心身に不調を抱えた労働者を就業させることは避けたい反面、新たに雇用するには採用コストも教育コストもかかってしまいますから、勤怠や能力などに大きな問題がなければひとまず遺留するのが一般的でしょう。

半数の企業には休職者がいる!

少々古い資料ですが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の~「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果~(平成25年6月24日 PDF)によると、資料発表の時点の過去3年間で半数の企業に休職者が生じ、復職率はおよそ5割だったそうです。退職率が高いのはがん、メンタルヘルス、脳血管疾患とのことですから、体調の快復が思わしくなかったことがうかがえます。しかし、復職しなかった残りの5割は退職した計算になりますが、その人たちの全てが退職後に失業したのか、他の企業などに転職したのかはわかりません。

休職中の転職活動

では、休職後に復職しなかった5割の人について考えてみましょう。そのまま失業した人もいると思いますが、転職した人もいると考えるのが自然です。先ほどの独立行政法人労働政策研究・研修機構の~「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果~(平成25年6月24日 PDF)によると、連続して1カ月以上利用できる病気休職制度がある企業は92%ほどあります。労働者が体調を崩したことを理由に年次有給休暇を使い、そのまま私傷病休職制度を利用し、他の企業に転職するというのは、人事から見ると信頼を裏切られた気分にもなります。復職後の配置転換やフォローアップのために、休職期間満了を前に休職者と連絡を取り合ったり、復職に向けて動いたりしている中で、やりきれないという声も聞こえてきます。

では、休職中に転職に向けて活動したり、あるいは転職中に転職先が決まったりした場合には、今の会社に復職せずに新しく採用された会社で就労するということは人事の立場からどう考えれば良いのでしょうか。まだ、そんな休職者に会ったことはないという方は、今後の参考にしていただければと思います。

休職者の考えること

休職して最も心配なのは、一般的にその後の生活のことではないでしょうか。それまで定期的に入ってきていた給料が入らなくなり、健康保険の傷病手当金に頼った生活をする人が多いようですが、傷病手当金はそれまでのその人の給料と同額が全額支給されるわけではありません。(健康保険組合によっては傷病手当金に追加で傷病手当付加金が支給されるケースなどもありますので、一概には言えませんが、協会けんぽの場合は、傷病手当金の1日当たりの金額は支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30日で割ったものに3分の2を掛けた額です。)

このような状況下で、例えば、職場の人間関係に不都合があってメンタルヘルス不調などになって休職している人の場合を考えてみましょう。
人によって症状は異なりますが、在籍中の会社に向かおうとするだけで具合が悪くなったり、その会社の建物に入ることすらできなくなったりするという人もいます。休職期間満了後に復職するのが元の部署かどうかはわからないまでも、在籍中の会社に戻るということは、自分のメンタル不調の原因となった人間関係があると考えてしまいます。そのような場合には、他の道を考えてしまうケースも考えられます。

休職中の転職活動は違法なのか

メンタル不調の人に限定したお話ではありませんが、本来は療養のための休職期間を自由な時間と勘違いしてしまうのか、転職活動をし復職せずに新たな会社に転職してしまうケースもあります。

結論から言えば、休職中ではない通常の状態の中で転職活動をする人もいて、それ自体は違法ではありませんが、何のために休職しているのかということを考え、良識のある行動をするべきです。療養のために会社から認められた休職の期間を、転職活動にあてるのはいかがなものでしょうか。

それから、逆に休職中の人を採用する際にはくれぐれも慎重な判断をしてください。経歴詐称の可能性もありますから、応募書類はしっかりと吟味し、従前の会社とのトラブルに巻き込まれないように細心の注意をする必要があります。体調が安定しない状態の人を雇用するのは労使双方にとってハイリスクです。事情を踏まえた上で、採用の可否を判断すると良いのではないでしょうか。通常の業務をするうえで特別な配慮が必要ないかどうかも含めて、休職中の人の転職の受け入れには通常の採用面接以上の注意が必要になります。

休職中の過ごし方は事前に決めておく

労働者の事情による休職を認めることは必要ですが、就業規則などに休職に関する規定を設け、休職に入る前に休職の目的や意義を労働者とよく確認するようにしてください。休職中の転職活動に関し、懲戒を科す会社もあります。休職中の過ごし方については、書面で日付、労使双方の記名、押印をすることを徹底しておきましょう。

休職中というのは、転職したい人にとっては転職活動を平日に行えてしまう期間でもあります。また、休職中なので、一応は会社に在籍しているので、休職中の転職活動で次の会社が見つからなくても復職すれば当面の職はあります。休職中に転職活動をしても、元の会社に戻れるという心の緩みからこのような行動をしてしまうのかもしれませんね。

さいごに

休職中の転職活動自体は違法ではありません。休職中の過ごし方を事前に確認し、定期的に休職者と人事担当者が連絡を取り合うなど、できる限りの対策をとっておきましょう。事前に、休職に関する規定の整備もしておくと安心ですね。

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