“保育園落ちた”本当の待機児童数はわからない?

“保育園落ちた”本当の待機児童数はわからない?

2015年、待機児童は5年ぶりに増加しました。その理由は新制度に期待が高まったため潜在的ニーズが表面に出てきたとされています。一方で国の待機児童の定義は曖昧で、本来の数が見えてこないという問題もあるのです。

2015年4月の待機児童数は2万3千人、5年ぶりに増加

「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名ブログで話題の待機児童問題ですが、実際のところ待機児童数はどれほどの数に上るのでしょうか?

平成27年9月29日に発表された厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」によれば、平成27年4月の時点で全国の待機児童数は23,167人で、5年ぶりに増加しています。平成26年と比較すると1,796人増加しました。保育所の入所申込者数も131,410人増。今まで待機児童は減少傾向にあったのに、急激に増加したのはなぜでしょうか? 昨年4月に施行された「子ども・子育て支援制度」に期待が高まり申請者が増えたからなのです。しかし、この待機児童の増加は潜在的待機児童、つまり、保育所の入所申請さえしていない人も多い、という結果なんです。

保育所の入所申込者数と待機児童数
出典:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ

潜在的な待機児童数は約5万人

しかも、待機児童の定義は単に「保育所に入れなかった児童数」ではなく、「認可保育所に入所できなかったが、認可外保育所などに通う場合は待機児童数から除いて良い」ことになっています。

東京新聞の記事「潜在待機児童5万人 厚労相明かす 国定義の2倍以上」によると、希望する保育所に入れないのに待機児童として数えられていない児童は約49,000人に上ると言います。公式の待機児童数の2倍以上です。厚生労働省が公表したケースでは、32,160人が入所可能な施設があるけど他の認可保育所などを希望しており、17,417人が認可外保育所や認証保育所に通っているのだそうです。希望した保育所でなければ自宅や勤務先から通えない場合や、認可外の保育所に通っていても費用が安い認可保育所を希望しているなど、止むに止まれぬ事情があるのです。

保育料も保育園の入りやすさも自治体で格差がある

認可保育所の保育料は世帯所得によって変わってきます。さらに、その保育料は自治体が定めているため区や市によっても変わってきます。

例えば渋谷区の中間額(平均的な所得の場合の保育料)は12,700円で、最高額は70,400円となっています。一方、川崎市では中間額が54,500円、最高額が82,800円です。このように低所得者からは保育料を少なく、高所得からはしっかりもらうという姿勢のところもあれば、所得にかかわらず保育料が割高であるところもあります。

自治体によって保育園の入りやすさにも差があります。それをわかりやすく数値化しているのが保育園を考える親の会が発表している入園決定率です。「新規に入所許可された児童数」を「新規に入所申請した児童数」で割り算すると、保育園に入る難易度を求められます。ちなみに2014時点では世田谷区は47.2%と5割を切っている状態です。

また、待機児童の年齢は3歳未満が8割であるように、子どもの年齢が上がれば保育所に入所しやすくなります。その理由は、国の規定により0歳児3人につき1人保育士が必要なのに対し、3歳児は6人につき1人で済むためです。

待機児童数はあてにしないこと!

都内でも待機児童が少ない地域はあります。単純に考えれば待機児童の少ない地域に引っ越せば保育所に入所しやすくなると思いますよね? しかし、実際に保育園の競争率が低い地域であるかどうかは、ふたを開けてみるまではわからないのです。

まず、平成26年の横浜市、世田谷区、大阪市の待機児童数を見てください。

横浜市 20人
大阪市 224人
世田谷区 1,109人

世田谷区がダントツで待機児童数が多いですが…… 一方、「認可保育所に入れなかった児童数」を見てみましょう。

横浜市 2,384人
大阪市 2,951人
世田谷区 2,832人

待機児童数ワースト1の世田谷区と大して変わらない数になってしまいました。横浜市に至っては公式の待機児童との差が大きすぎますね。なぜかというと、自治体によって待機児童の定義にバラつきがあるからなんです。横浜市や大阪市は「預け先が見つからず育児休暇を延長した」というケースは待機児童に含めないが、世田谷区は待機児童に含めるとしています。(朝日新聞デジタル「待機児童問題」より)ここまで極端な結果が出てしまうと、待機児童数を減らすために定義を狭めてごまかしたと受け取れてしまいますよね。

そのため、特に認可保育所の入所を希望するのであれば待機児童数はあてにしないほうが無難と言えます。なお保育園を考える会では「100都市 保育力充実度チェック」という冊子を700円(送料別)で頒布しています。

さいごに

待機児童数は潜在的なケースも含めれば360万人を超えるという予想や、平成26年には厚生労働省も潜在的待機児童は40万人を超える可能性があると認めています。国が待機児童を把握できていないことも問題ですが、もはや保育所はどれだけあっても足りないという状況なのかもしれません。

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