保育士の現場の、かなりブラックな実態

保育士の現場の、かなりブラックな実態

どんどん増えていく保育所ですが同時に保育士不足も叫ばれています。その背景には保育士は給料が15万円程度とかなり水準が低く、労働時間も長いという過酷な労働環境があります。保育園がブラック化する理由を解説。

待機児童問題が深刻なのは保育士がいないから

待機児童は保育所の不足が大きな原因とされがちですが、実は深刻な保育士不足ももうひとつの原因。どんどん増えていく保育所ですが、現場で働く人がいなければ子どもの受け入れはできませんよね。

有資格者でありながら保育士として働いていない「潜在的保育士」は全国に約70万人いると言われています。また、平成26年の「東京都保育士実態調査」によると保育士を辞めたいと思っている人は18.1%と、全体の約2割もいるそうです。

なぜ資格を持っているのに保育士として働かない人がいるのでしょうか? それは保育現場のブラック化が進んでいるからなんです。

【保育士の現場がブラックな理由1】給料が低すぎる

保育士を辞めたい理由として真っ先に挙げられるのがこれ。「東京都保育士実態調査」では「退職意向理由」として「給料が安い」が65.1%を占めています。実際に、短大卒の正規保育士の初任給は額面でも15万円〜16万円程度なんです。民間保育所の平均給与でも21万9千円と、社会人の平均収入30万よりも10万円低くなっています。そのうえ、10年勤めても昇給して1万円くらいという状況なのだそう。さらに、主任保育士になってようやく20万円を超えると言われています。さすがにこれでは生活できませんよね。

そもそも運営費が低い

なぜ保育士は給料が低いのでしょうか? それは支給される運営費が少ないから。2016年3月現在Change.orgで行われている署名活動「保育士給与のために、一人当たり月5万円増額してください!」では、職員20人に対し1カ月の補助金は500万円ほどだと書かれています。そのうち7割を人件費に、3割を他の経費に充てるそうです。7割の350万を20人で割れば、1人当たり17万5千円の給料になりますね。しかしながら、残り150万円は給食費に50万円、公共料金に20万円、遊具や教材費に20万円、その他イレギュラーな支出に使います。毎月カツカツなのは明らかなため、結局は人件費を削るほかないのです。また、私営の保育園の場合も利益を出すために費用の大部分を占める人件費を切り詰める必要が出てきます。

【保育士の現場がブラックな理由2】激務である

「ただ子どもと遊んでるだけでしょ」なんて保育現場の実態を知らない人は言ってしまいがち。ですが、甘くみてはいけません。保育士の仕事はサービス残業当たり前の激務なんです。その証拠に、前述した保育士を辞めたい理由の第2位が「仕事量が多い」52.2%、第3位が「労働時間が長い」37.3%となっています。また、正規職員は勤務日数6日以上が31.2%、労働時間9時間以上が47.6%にもおよぶ結果があります。

一日中子どもの世話をし、お昼寝の時間や子どもたちが帰ったあとは書類仕事に追われる保育士。休む暇なんてありません。また、子どもを見ている時間が勤務時間で、それ以外の仕事に割く時間は給料に反映されないと言います。AERAの「低賃金で長時間労働「保育士が足りない」 潜在資格者70万人が保育現場に戻れない」では過重な労働に保育士3年目でうつ病になったというケースが紹介されています。

保育士の質も危ない

仕事に追われる職場環境は子どもをないがしろにしてしまう原因にもなってしまいます。

平成16年〜26年までに起きた保育所で死亡した子どもは163人にもおよぶといわれています。その多くは睡眠中の死亡事故であり、保育士の見守りが不十分であることが起因となっています。保育士が足りないため、有資格者だからという理由だけで採用することも。これでは保育士の質も危ないですし、子どもの虐待やネグレクトにつながってしまいます。

ブラックとはさよなら。保育園の意識を変える

保育士が生き生きと働いていなければ、親御さんは安心して子どもは預けられません。働きやすい職場には必ず、良い人材が集まってくるものです。そこで、保育園の職場環境を改善するために絶対やってほしい取り組みを3つあげてみました。

新人教育や研修の充実

どんな保育園にも保育方針があります。その方針を実現するためには、保育士のための育成方針も必要です。また、障害や病気を持つ子どもなど専門性の高い保育を身につけることも大切です。

残業ゼロ

保育士の仕事は書類仕事や雑務が多いため残業が増えてしまいます。食事の配膳、施設の掃除・消毒などの仕事を主に行う人材を雇うという方法もあります。現在国から、保育以外の業務を行う人を雇用するための補助金も出ています。

休暇制度の工夫

労働者には自由に有給休暇をとる権利があるので、本来なら年に10日は有給休暇を取るべきです。とはいえ、仕事の特質上休暇が取りにくい保育士。1日単位ではなく、1時間単位で取得できる休暇制度を導入するのもアリです。職員からヒアリングを行い、保育士が取りやすい休暇制度を整えましょう。

さいごに

とにかく保育士を増やすには給料と過重労働の改善です。保育園の仕事を保育士に丸投げしていたからこのような厳しい職場環境が生まれてしまったのでしょう。働きやすい職場とは職場全体が環境を変えようと思うところから始まります。国も保育士不足の対策に動き出しています。今こそ、保育園の職場環境を変える時期に来ているのではないでしょうか。

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